亜利馬&潤歩、inワンダーランド -5-

「完全一致なんて無理じゃないかな? だってその……お尻の中を見たところで奥まで全部見える訳じゃないし。その辺は想像でいいよ」
 早めにこの話を切り上げないと、嫌な予感しかしない。
「ペニスは見て触れば、むしろ型を取れば同じものを作れるけどね。アヌスの場合はやっぱり中を触った感じと、ペニスを締め付ける感じで確かめるしかないよね」
「………」
「亜利馬、横になって」
「っ……」
 やっぱり!

「やっ、やだよそんなの……! 何で俺が有栖にそこまでされなきゃ……」
「商品開発のためだ。ビジネスだよ」
 潤歩は半笑いの呆れた顔で俺達を眺めている。
 昔からいつもこうだ。まだ俺がエッチなことなんて何も知らない無垢だった頃から、有栖は部屋で二人きりになると当然のように俺に「横になって」「亜利馬は患者さんだから」と命令していた。乳首を摘ままれた時の体がきゅっとなる感覚や、幼いペニスを揉まれてむずむずした気持ちになったのを今でも覚えている。

 あの時のことがエロい行為だと分かったのは、……この業界に入ってからだ。だって「体を調べるからね」と言われたら、それを信じるしかなかった。有栖の将来の夢はお医者さんで、そのための勉強なんだと思って協力しているつもりだったんだ。

「早く、亜利馬。そこに寝て」
「やだ! やだやだやだやだ!」
「亜利馬」
「やだ!」
「ピーポーされたいの?」
「やだ!」
「もう、手のかかる子だなぁ……」
 有栖がデスクの上にあったリモコンを取り、俺に向けて何かのボタンを押す。──瞬間、腰を下ろしていた簡易ベッドの両サイドから突然ベルトが伸びてきて俺の腰に絡みついた。
「どぅわっ!」
 ベルトの締め付けによって強引にベッドへ寝かされた俺の体。ついでに両手首も別のベルトが巻き付き、あっという間に万歳の恰好でベッドに固定されてしまう。

「亜利馬っ」
「う、潤歩さん! 助けてっ!」
「おい有栖、亜利馬を放せ! こんな真似して許されると──」
「潤歩さん」
 有栖が椅子から飛び降りて、潤歩の方へと歩いて行った。
「昔みたいに俺が調べてもいいけど、今の亜利馬にそれをやったら大事な取引先のインヘルさんに訴えられちゃうからね。俺は何にもしないよ、安心して」
「ただベッドに縛ったってだけか?」
「まさか。俺の代わりに潤歩さんがやるんだよ」
「はぁっ?」
「それでもって、亜利馬の中を詳しく実況して俺に教えて」
 潤歩が唇を噛んで俯いている──葛藤しているのだ。

「か、葛藤しないで下さい潤歩さんっ! どう考えても馬鹿げてるでしょ、こんなの!」
「見たいなぁ……潤歩さんの巨大な暴れん棒が、亜利馬の小さいお尻にずぼずぼしてるとこ……」
「潤歩さんっ、気を確かに! 罠ですよ! 有栖の罠! こういう奴なんです、こいつはっ!」
「罠も何も。俺はただこの企画を成功させたいだけ。どうしても亜利馬と潤歩さんの協力が必要なんだ。エッチな下心で言ってるんじゃないよ」
 うるうると目を濡らして潤歩を見つめる有栖。俺と殆ど同じ顔のくせに、こいつはカメラがなくてもいつだって人をの心を揺さぶる演技ができるんだ。

「お願い、潤歩さん……俺と亜利馬のためだと思って」
「お、俺を巻き込むなぁっ!」
 潤歩がキッと顔を上げ、俺に鋭い視線を向けた。
「亜利馬」
「潤歩さん、どうか落ち着いっ……」
「ヤるぞ」
「う、う、潤歩さんの馬鹿ああぁッ──!」