みんな、ずっと仲良し! -2-

「亜利馬、ファンの子にサイン書いてあげてたでしょ。良かったね。終わってから何時間も、ずーっと待っててくれたんだよ」
 移動車の中で獅琉の隣に座りながら、俺はニヒヒと笑って両頬を擦った。
「本当は俺狙いだったのに、こいつしか見つからなかった、ってことじゃねえだろうな?」
 後ろの席から身を乗り出した潤歩が、意地悪く笑って俺の頭をぐりぐりと撫でる。
「ち、違いますよっ、ちゃんと俺の写真持っててくれましたもん!」
「どうせならその場でチューくらいサービスしてやればいいのに、ケチな奴」
「そんなの考え付かないですって! 俺だって舞い上がっちゃってて……」
「まあまあ、二人とも暴れるなって。シートベルトしろよ」
 竜介に言われてベルトを締め、獅琉がドライバーさんに行き先を告げる。後ろからフリーズメンバーを乗せた車が付いてきているのを確認して、車が目的地へ向け走り出した。

「大雅の花魁も竜介さんのホスト風も、獅琉さんのストリップも、見るのすっごく楽しみです!」
「俺のはよ」
「潤歩さんはバンドマン風でしたっけ。いつものファッションと殆ど同じじゃないですか」
「うるせえな、暴走して俺にチンポねだりまくってたくせに」
「あ、あれはっ!」
「そうなの?」
「マジか」
 他三人が目を丸くさせ、声をあげる。俺はついさっきまでの自分を思い出してシートの上で縮こまり、頭を抱えた。
 意識が飛んでいたわけではない。もうどうしようもなかったんだ。

「あぁ~ん、潤歩様もっと激しくぅ~、って腰くねらせて叫んでたじゃねえかよ」
 瞬間、車内が笑い声に包まれた。
「や、やめっ、……!」
「はっはっは、そりゃあ凄いな! よっぽどだ」
 竜介が豪快に笑い、獅琉が目元を拭いながら「はあぁ……」と溜息にも似た声を出す。
「亜利馬がそんなエロい子になってるとは思わなかった。それって、俺達のこれまでの躾けが良かったってことだよね」
「ち、違います獅琉さんっ。あれはあの場の雰囲気に呑まれたっていうのもあるし……!」
「……DVD、楽しみ」
 大雅にトドメを刺され、俺は心臓を押さえてドライバーさんに言った。
「あ、あの、引き返してくださいっ。編集さんにその部分カットしてもらうように頼まないと……!」
「うーん、無理だねぇ。俺も楽しみにしておくよ」
「そんなっ……」
 ドライバーさんまで皆と一緒に笑っている。

「俺もそろそろ潤歩坊やじゃなく潤歩様って呼ぶべきだな!」
「だろ? 竜介これからは俺のことそう呼べよ」
「潤歩様、そこにあるお菓子取ってぇ~」
「あいよ、獅琉」
「……潤歩様、俺のジュースも取って」
「あいあい、大雅」
「………」
 ……しばらくはこのネタでからかわれそうだ。

 俺は心の中で、さっき握手したファンの人に語り掛けた。
 ……亜利馬はこれからもめげずに頑張るよ……。