亜利馬、覚醒!?

 獅琉のレポートを偉く気に入った二階堂さんのアレンジが多少加わったものの、「FamilyGame@BLAZE(仮)」の撮影内容は竜介の家でやったものと殆ど変わらない流れで行なわれた。

『最近亜利馬くんの新作が多くて嬉しいです。動画も全部保存しています。頑張ってください』
『亜利馬くん、慣れてきたねー。色んなことに挑戦しててエライ!』
 サイトの作品レビューや掲示板に嬉しいコメントは毎日届いている。この一つ一つにどれだけやる気をもらっているか、どれだけ励まされているか……
『亜利馬のやられ顔もいいけど、たまには主導権握ってるところも見てみたいなあ。何て言うか、ウケ専だから毎回同じような流れになってない? まあ毎回抜いてるけど(笑)』

 ……確かに、俺がセックスに慣れていないせいもあって企画はいつも俺が「恥ずかしい思いをしながら感じちゃう」的なものばかりだ。メーカー側にも俺自身にも、ベテランのメンバーにリードしてもらう俺の図が定着しているような気がする。
「うーん、でも実際に翻弄されちゃってるからなぁ……」
 家族企画だってそうだし、何なら次に撮る予定のショーだってそうだ。結局俺がみんなからリードされて翻弄されて、だらしないイキ顔を晒して終わる。
 ……でも、俺にみんなをリードするなんてできるのかな。

「あーあ。亜利馬にプレゼントしたエログッズ、結局使わなかったね」
「……プライベートで使えばいい」
 獅琉と大雅と俺。ついさっき月に二回の動画「@ブレイズ」の撮影を終えて、今はファミレスで夕食を食べている。俺の正面に座った獅琉と大雅は同じハンバーグセットを頼んでいたが、俺はとにかく甘い物だ。仕事帰りのチョコレートパフェほど最高の癒しになる存在はない。

「エロ本とDVDだけ見ましたよ。あれ絶対大雅のチョイスでしょ。モデルががっちり系の男前ばっかだったもん」
「……亜利馬も好きでしょ」
「ま、まあ……嫌いじゃないけど」
 大雅はハンバーグの付け合わせのニンジンやらブロッコリーを、せっせと獅琉の皿に移している。獅琉もまたそれを気にするでもなく、一つずつ口に運んでいた。

「大雅って、今まで色んな企画やってきたと思うけど……やっぱりタチよりウケやってる時の方が評判良かったりする?」
「ん、別に分かんない。俺、怖いからあんまり感想とか見てないし……」
「大雅はガラスのハートだもんね。でもサイトの書き込みは会社がチェックしてるから、誹謗中傷なんて載らないよ」
 獅琉がニコリと笑って、大雅の肩を叩いた。
「最近見たやつだと、『大雅はブレイズだとタチ役が多くて嬉しい』ってのと、『竜介とマジで付き合ってるのでは?演技が自然すぎて見てるとこっちも幸せ』ってのがあったよ」
「あ、それ俺も見ました。『竜介くんと結婚しても引退しないでね』っていう女の人からの書き込みもあったよ」
「………」
 少し赤くなった大雅の口元は緩んでいた。やっぱり、好意的な応援メッセージはどんなものでも嬉しいのだ。

「うう……でも今の俺は、次の企画が心配で仕方ないです……」
「大丈夫だって。明日、山野さんから詳細の発表があると思うから気楽に待とうよ。ちゃんと亜利馬の悩みも言っておいたからね」
「はあ……」
 獅琉に自信満々でウィンクされ、俺は頬杖をつきながら唇を尖らせた。