亜利馬、大ピンチ! -6-

「よ、よく分からんが……秋常がお前に迷惑をかけたのは間違いないみたいだな。悪かった」
「いえ、もう……何て言うか、もう大丈夫です。俺の方こそすみません、大きい声出しちゃって」
「怪我はしてないか。その、秋常が……ちんこがどうのと言っていたが……」
「っ……」
 頭から湯気がたつほど赤面する俺を見て、夕兎もまた顔を真っ赤にさせて沈黙した。

「亜利馬っ!」
 そしてタイミングが良いのか悪いのか、撮影を終えた獅琉が俺を見つけて廊下の奥から駆けてきた。
「どうしたの? さっきフリーズの子達とすれ違ったけど、凄い必死に亜利馬の名前叫んでたよ?」
「し、獅琉さん」
「何があったの? 夕兎くんもいるし……まさか君達、亜利馬に……」
「違いますよ獅琉さん、むしろ夕兎さんには色々助けられたというか……」
「……俺は何もしていない。失礼するぞ」
 いつものキャラに戻って、顔を赤くさせたまま夕兎が俺達に背を向けた。
「で、何があったの? 亜利馬」
「いえ、何でも──」
「亜利馬?」
「……う、……」
 秋常と同じ「満面の笑み」でも、獅琉の方が百倍怖い。

 *

「そんで――惚れてようが何だろうが、そいつらが亜利馬を犯ろうとしたのは間違いないってことだな」
「………」
 潤歩のこめかみに青筋が浮いている。獅琉と一緒に竜介の家に帰ると、既に大雅達も戻っていて出前のラーメンが届いていた。買い物をする時間もなかったため、獅琉がメールで頼んでおいてくれたのだ。
「ふざけやがって、あのクソ野郎共っ……!」
「う、潤歩さん。大丈夫です。そこは俺、あんまり気にしてませんから」
「ナメられたままで黙ってろってのか」
 獅琉も竜介も、無言で俯いている。
「……ごめんね亜利馬。俺が一緒にいれば……」
「大雅のせいでもないって! お、お願いだからみんな、そんな暗い感じにならないでください!」
 無理もないことだ。早い話が強姦未遂。俺だって、他のメンバーがそんなことをされたら絶対に怒るし、笑ってなんかいられないと思う。
「で、でも本当に。実際、俺は何とも思ってませんから。こんなことで大騒ぎしたくないですし、秋常さんも俺をぶっ潰そうとか、そういう理由でやったわけじゃないので……出来れば、無かったことにして欲しいんです」

「亜利馬」
 獅琉の手が俺の頭に乗り、そのまま優しく胸へと引き寄せられた。……あったかい。いい匂い。
「獅琉さん……」
「可哀想に、亜利馬……一人で背負わないでいいんだよ」
「え?」
「後は俺達に任せといて」
「えぇっ?」
 見上げれば、潤歩も竜介も大雅も──全員、獅琉と同じ薄ら笑いを浮かべていた。
「必ず亜利馬の仇を討つからね」
「おう。勿論、正々堂々とな!」
「……俺も本気出す」
「ちょ、ちょっと待って。みんな──」
「よし。そうと決まれば腹ごしらえだ」
 潤歩が割り箸を豪快に割り、ラーメンに突っ込んだ。
「フリーズの野郎共、全員まとめて血祭りだ……!」

「……え?」