第13話 先輩たちの助言! -2-

 どうにも釈然としなくて二人を睨みつけると、ロッソ君が「違うよ」と言いながら二本目の缶ビールを開けた。
「笑顔が素敵、なんてのは殆どの人に当てはまることなんだよ。誰だってデフォルトの無表情よりは笑ってる時の方が周りに与える印象は良いでしょ? そんな当然のことより、『怒ってる時が可愛い』ってのは大きな武器なんじゃないかなと俺は思うけど」

 ロッソ君の正論ぽい言葉につい納得しかけたけれど、それだと俺はなるべく怒っている方が良いってことになってしまう。

「ていうかそれって、俺の『怒り』が伝わってないってことじゃん!」
「わはは。確かに、本気でブチ切れてる人に『可愛い』なんて言えないもんね!」

 隣では快晴もくすくすと笑っている。結局からかわれているのだと分かって、俺はますます唇を尖らせた。

 この二人のことは好きだけど、話しているとどうにも俺だけ子供扱いされている気がして落ち着かない。実際、年齢的にも人生経験的にも俺の方が下だから無理もないのかもしれないけれど。

「そんなことより玉くん、頼寿との初エッチの感想聞かせてよ。どんな風だった?」
「なっ……」
「ぼ、僕も聞きたいです坊ちゃん……!」
「優しかった? それともケダモノ系だった?」
「は、初めてで頼寿さんのサイズを挿入するってどんな感じでしたっ……?」

 ロッソ君と快晴が左右からぐいぐい迫ってきて、俺はソーダのグラスを手に座ったまま尻だけで後ずさった。

「ちょと、待って……! どうって何だよ。……は、初めてなんだから他と比較できないし、話しようがないってば」
「いいなああぁ。慣れてない頃って、一回一回のセックスが凄く新鮮でわくわくするんだよねぇ」
「分かりますロッソさん。僕らにも恥ずかしかったり照れたりしてた時代がありましたよねぇ……今じゃこんなですけど」

 何やら勝手に妄想しているらしい二人は、うっとりと俺を見つめて在りし日の自分を重ねている。

「だけど初体験が頼寿なんて、もうその辺の男とはセックスできないね」
「わ、分かんないけど……頼寿ってそんなに特別なの?」
「頼寿さんのテクニックは坊ちゃんが一番理解されてるでしょ。これまでも身を持って体感されてるわけですし」
「いや俺は頼寿しか知らないからさぁ……」

 そこまで言って、ハタと気付いた。

 俺自身経験が少ないとはいえ、頼寿は「上手い」方なんだと実感している。加えてロッソ君と快晴がそこまで言うなら、一般的に見ても頼寿は凄いんだろう。

 だとしたらそんな頼寿と、素人で童貞で経験の少ない俺が、果たしてセックスにおいて「釣り合っている」んだろうか?
 百歩譲ってあの夜は初体験という特別感があったからお互い燃えてたかもしれないけど、今後慣れてきた時に果たして俺は頼寿を満足させてやれるんだろうか?


「あの、……ロッソ君と快晴って、頼寿と……セックスしたことあるの?」