第13話 先輩たちの助言!

「ええっ! あの頼寿がマジでっ?」
 赤い髪の猫目なロッソ君と、
「僕は予想できてましたよ。頼寿さん、明らかに他の子とは坊ちゃんの扱い方が違ってましたし」
 茶髪でタレ目な快晴と。

 そんな二人と俺は月曜日の午後、ロッソ君の部屋で「お茶会」を楽しんでいた。……なんてことはない、ただ好きなものを飲みながらダラダラ行儀悪く寛いでいるだけだ。

 ロッソ君の住む2DKのアパートは本人をそのまま表したようなサイケデリックな内装になっていた。
 赤と黒の市松模様の壁紙に、知らない外国人のポスター。デカい球体の中を変な宇宙人のフィギュアが行ったり来たりしているオブジェ。その他色々な訳の分からない物がごっちゃり飾られていて、その中には「外に停めとくと盗まれるから」という理由でナントカバイクとかいう洒落た自転車も置いてあった。

「で、したの」
 そんなイカれた部屋で行なっているお茶会の話題は、もっぱら俺と頼寿のことだ。先週木曜日のパーティーの一件の後どうなったのかと容赦なく訊かれて、打ち明けることとなってしまった。ちなみに頼寿の了承は得ている。

「………」
「したんだ? どうだった、どうだった?」
「ロ、ロッソ君食いつき過ぎ!」
 恐らく真っ赤になっているであろう顔を左右に振りながら、迫りくるロッソ君のニタニタ顔を全力で制止する俺。その横で快晴は少しも助ける素振りを見せず、緑茶を注いだ湯呑みに口を付けて満足そうに笑っている。

「だって頼寿のそういう話って、全然聞いたことないからさぁ。そもそも固定の男作るような奴じゃないし」
「そうなの……?」
「頼寿さん、最長で一年近く面倒みていた美青年にも一切手出ししなかったんですよ。坊ちゃんより品のある美しい子だったんですが」
「品がなくて悪かったな!」

 床に片膝を立てて座りながらボトルのソーダをがぶ飲みする俺は、確かに上品じゃない。チビタマだし世間知らずだし……俺だって俺みたいな奴はお断りだ。

 ──じゃあなんで頼寿は俺を?

「あれ、玉くんどうしたの。死んだ魚の目になってるけど」
「だ、だって俺、自信なくて……」
「頼寿に気に入られたくせに、何言ってんの」
 呆れ顔で煙草を咥えたロッソ君が、ジッポライターで先端に火をつける。
「僕が余計なこと言ったからですか?」
「ううん。快晴のせいじゃなくて、単純にどうしてこうなったのか分からないし……。俺の魅力ってなにっ?」

 ロッソ君と快晴が顔を見合わせ、同時にその視線を宙に向けた。その仕草だけで分かる、俺の魅力なんて考えなきゃ出てこないということが。

「えーと、玉くんは年齢のわりに純粋だよね」
「そうですね、坊ちゃんは反応が素直で面白いです」
「そ、それ単純に無知なガキってことじゃなくて?」
「あと、見た目でいえば下唇が可愛いかな。ムッとしてる時の顔とか最高だし」
「そうですね、怒った時に地団駄踏むところなんかは僕も好きですよ」
「……俺の魅力って『ムッとしてて』『怒ってる時』なのか?」