第10話 頼寿先生のご奉仕講座 -7-

「は、うぅ……」
 ほんの少し先端が触れているだけなのに、気持ちが高ぶって腰が揺れてしまう。頼寿は忠実に俺の言葉に従っていた。伸ばした舌を動かすことなく俺のそこに触れさせたまま、荒い息遣いでじっとしている。

「……頼寿……」

 見たい。
 目隠しの下で、今の頼寿は一体どんな目をしているのか──

 俺は震える指をアイマスクに引っ掛けて、少しずつ上へずらしていった。

「………」
 現れたのは獣の目だった。舌を出して真っ直ぐに俺を見つめる、鋭くも切なげな眼差し。
「は、ぁ……」
 そして発せられる獣の息遣い。

 俺はアイマスクを取り去り、薄らと汗をかいた頼寿の額に触れて言った。
「一言」
 我慢できないのは俺の方だ。これ以上焦らされたら頭が変になってしまう。
「一言だけ、……喋ってもいいよ」

 やっぱり頼寿には敵わない。いくら上に跨っていても、快晴の言う通り俺の頭と体には「ご主人様が誰なのか」嫌というほど刷り込まれてしまっている。

「──許可を」

 その声、その目も。

「な、……舐めて、……!」

 いつだって俺は頼寿の奴隷なんだ。

「あっ、あぁっ……! 凄い、とける……! 溶けちゃう、頼寿っ……もっと……!」
 激しく絡む舌と唾液。下から思い切り頬張られ、何度も何度も搾り取るように吸い付かれる。

 信じられなかった。一時間どころか十分も我慢できなかったなんて──いやもう、そんなのどうでもいい。トップもボトムも関係なく、ただもう気持ちいいことだけ……

「頼寿っ……。俺も頼寿のちんこしゃぶりたい、どうすればいいか教えて、お願、あぁっ……!」
「っは、……体を逆にして倒せ。気合い入れてしゃぶれよ」
 言われた通り体の向きを逆にして、ボクサーパンツを押し上げている頼寿のそれを思い切り握った。
 ──確かこれって、シックスナインってやつだ。

「すごい硬い、大っきい……」
 ずらした下着から飛び出した頼寿のペニスに、思わず頬擦りしてしまう。こんなにカッコ良かったっけ。何でこんなに愛しいんだろう?
「あ、あ……やば、ヨダレが」
「タマ、咥える前に言うことあんだろ?」

 仰向けで俺のペニスに舌を這わせながら、頼寿が不敵な笑みを浮かべた。

 言うこと──そうだ、おねだりして咥えさせてもらうんだから、ちゃんと言わないと。
 でも、何を? 何て言うんだっけ?

 何でもいい。頼寿が満足しそうな言葉を言えばいいんだ。

「あ、ありがとうございます……。しゃぶらせて頂きます、……頼寿様」
「………」
 それに対して何も言わないどころか俺への愛撫もストップしてしまうほど頼寿は驚いたらしいが、へろへろの俺にはその理由が分かっていなかった。

「い、いただきまふ……」
 構わず先端から頬張って、口の中で舌を巻き付かせる。ぱんぱんに張った亀頭、それから少し苦くてしょっぱい体液。全部が俺の愛撫に応えてくれているようで、何だか……嬉しい。
「んっ、ん……。おいひ、……ちんちん、しゃぶってるだけで……勃起止まんない……」
「タマ」
 俺のペニスを扱きながら、頼寿が言った。

「いつかは俺とセックスすることになる。お前のことだからどうせ、初体験のシチュエーションとかいうヤツにもこだわるんだろうが……」
 俺は頼寿のそこから顔を上げて、後ろを振り返った。
「要望があれば言えよ。セックスが仕事になっちまう前に、せめていい思い出を作ってやりてえ」
「………」
「……どっちが奴隷か分かんねえな」

 お互いペニスを握り合って、今の今まで貪るようにしゃぶりついていたのに──
「……あ、う」
「………」
 そんな獣のような俺達なのに、ほんの少しの「言葉」で真っ赤になってしまうなんて。


 何とも変な話だ。