亜利馬、初めての生配信 -5-

 その後は予定通りインタビューに答えて、いよいよ次は視聴者さんからの質問に答えるコーナーだ。
「えー、それじゃあまずは、……撮影で一番大変だったことって何ですか?」
「大変なことっていえば、とにかく初めてのことだらけで、気持ちと反対になかなか上手くいかないことがあるってことです。先輩やスタッフさんのお陰で何とかなってるんですけど、撮影の時は毎回『鼻血出さないようにしなきゃ』って考えて……」
「亜利馬くんの鼻血事情は、社内でも有名だもんね」
「え……そ、そうなの?」
「DVD見た人には伝わってると思うけど、撮影の時本気で恥ずかしがってるもんね。……えっと、それと同じような質問きてるよ。どんな撮影が一番恥ずかしいですか? って」
「それは、次のDVDを見てもらえたら分かると思います……詳しくはまだ秘密ですけど、お風呂でのシーンです……」
 思い出してまた恥ずかしくなり、俺は両手で赤くなった頬を擦った。

「休日は何をしてますか?」
「家にいることが多いですけど、メンバーの誰かと休みが一緒の時はご飯食べに行ったりしてます。最近は大雅とランチビュッフェに行ったんですよ」
「ランチビュッフェって、またお洒落な感じだねぇ」
「昼飯食い放題!」
「いま大雅くんの話が出たけど、ブレイズメンバーで一番仲が良いのは誰ですか?」
「大雅は先輩だけど、齢が同じだからやっぱ話しやすいし仲良いです。人見知りするけど実はお喋りなんですよ大雅は。あの無表情にみんな騙されてると思いますけど、本当は感情豊かだし、優しいし可愛いんです。……って感じですね。基本的に仲はみんな良いです」
 これ以上喋っていたら竜介に関する余計なことまで口走ってしまいそうで、無理矢理まとめておいた。ポロッと出てしまう余計な一言。それが生配信で一番恐ろしいものだ。

「一番エッチが上手いメンバーは誰ですか?」
「なっ、……んで、いきなりそういう質問するんですかっ」
「変化球も入れておこうかと思ってね。ある意味ストレートだけどね」
「えぇ……」
 思わず両肘をついて顔を隠してしまったが、スタッフさんの『ひじついちゃだめ』という画用紙に書かれた指示を見て慌てて姿勢を正す。
「みんな、それぞれ……違う良さがあると思いますけど。AVの本番ってある意味演じてるとこもあるから……普段のそれとはまた、違うかも……ですけど」
「それでも敢えて選ぶとしたら?」
 ……動画班的にはどうしても言わせたいのだろう、きっと。
「敢えて選ぶなら、……やっぱ、一番年上の竜介さんですかね。ベテラン感が、やっぱその、……色々と、良いんじゃないかなって思います、けど」
「亜利馬くん鼻血出てるよ」
「えっ、うそ……!」
「嘘なんだけどね。それじゃあ次の質問──」
「………」
 このぬいぐるみ、高いだろうなぁ……殴ったら駄目だろうな。

「最後に、視聴者の皆さんに亜利馬くんからメッセージをお願いします!」
「はい。皆さん。まだまだ未熟な自分ですが、皆さんの声にとても励まされています。これからも精一杯頑張ります。ブレイズの応援もよろしくお願いします! 今日は本当にありがとうございました!」
「勝手にまとめないでね。最後に亜利馬くんからサプライズのサービスがあるらしいので、皆さんまだ画面消さないでくださいね」
「えっ!」
 そんなの聞いてない。サプライズなんて台本にもなかった。
「え、ど、どうしよ? うーん、何がいいかな……?」
 動揺しているのをバレないように考えるフリをしながら、スタッフさんに目で助けを求める。するとすぐに、スタッフさんが画用紙に乱雑な字で指示を書いてくれた──のだけど。
「………」
「えー、なんと亜利馬くんが特別サービスでおっぱい見せてくれるみたいなので、お願いしたいと思います。5秒前。4、3、2、1……」
「ああぁぁ、もおぉぉッ!」
 半ばやけくそで、着ていたTシャツを思い切り捲る。
「それじゃあ、またの配信をお楽しみに! MCインヘルちゃんと、……」
「あっ、亜利馬でした……!」
「おやすみなさい~!」
「………」