第3話 ROSSO -6-

 いや、そんなことよりも。
「そ、それで……? 俺はいずれお前とこういうステージに立つってことなのかよ……?」
 ステージに立つ。観客がいる中で、頼寿と公開セックスをする──そんなの、俺にできる訳がない。
「……なに顔赤くしてんだ」
「て、ていうか! お前とヤるのがどうこうじゃなくて、普通に考えて皆が見てる前でその、……ヤるとか、無理だろっ」
「見せるためのショーだ。お前が考えているようなガキ臭せえセックスじゃねえ」
 ガキ臭かろうとショーだろうと、やることは同じなんじゃないか。確かにゴーゴーボーイのショーは楽しかったしイケメン同士だからカッコ良さもあったけれど……自分がそれをやるとなると話はまた変わってくる。

「よ、頼寿だけでやればいいだろ。お前なら相手なんて山ほどいるんだろうし、俺は……!」
「あいにくだが、旦那の依頼だからお前と組むしかねえ。俺だって素人相手にステージに立つことになるとは思わなかったぜ」
「そんな……」

 顔面蒼白で頼寿を見上げたその時、元々薄暗かったフロアが一気に真っ暗になった。停電かと思ってつい頼寿の腕を掴んでしまい、慌てて引っ込める。
「な、何なんだ……?」

 真っ暗闇の中でふっと明かりがついたと思ったら、中央のデカい円形ステージにスポットライトが当たっていた。
 ステージには上半身裸でレザーパンツの二人の男──黒髪短髪の屈強なイケメン、もう一人は俺とさほど年齢の変わらないであろう、整った顔立ちの中性的な奴だ。

 周りの席から歓声が起こったのとほぼ同時に、耳をつんざくような爆音のBGMが流れ始めた。それを合図に屈強な男が中性的な男の体に背後から触れ、その白い肌へ蛇のように二本の腕を滑らせ始める。

「うわ、……」
 妖艶な笑みを浮かべた青年が男を軽く振り返り、伸ばした舌を絡ませ濃厚に口付け合う。レザーパンツの中へと入ってきた男の手が、青年のそれを握っているのが分かる。二人が何かをする度に軽い歓声が起こり、俺はオレンジジュースのグラスを手にしたまま気付けば茫然とステージの二人を見つめていた。

「あいつらは最近デビューしたんだってよ。ロッソの気に入りだ」
「……そう、なんだ……」
 頼寿の言葉にも適当に答えながら、目は二人に釘付けだ。

 ロングのレザーパンツを下ろされ肌の露出が増えた青年は、もう下着とは呼べないほど面積の小さな下着を身に着けていた。前はぱつぱつで、その黒いパンツ越しでも屹立したモノの形がはっきり分かる。更にその上を男の手が撫でて行き、その度に青年が恍惚の表情で股を大きく開いて行く。
 BGMと歓声のせいか、この非日常な空間のせいか。

 ステージ上で絡み合う二人は、何だか物凄く──綺麗だった。