第1話 サプライズプレゼント

 ぽかぽかとした五月の陽射しが差し込む午後二時。
 昼食を終えて油断している社員たちに、睡魔が微睡の魔法をかけてゆく──オフィスで働く者達にとっての「魔の時間」。
 だけど俺は、そんな時間が好きだった。

三上みかみ会長、ランチご馳走様でした」
「口に合ったかい、玉雪たまゆき
 広くて清潔な会長室。大きなデスクにゆったりとした椅子。
 そして、渋くて優しくていい匂いのする、今年五十歳になった三上栄一会長。
 午後二時は会長と二人きりで過ごせる、俺の大好きな時間だった。

「そういえば玉雪、今日は珍しくデザートを頼まなかったな。減量でもしてるのか?」
「会長とこうして過ごす時間が、俺にとってのデザートですから」
「ふふ。可愛いことを言う」
 柔らかなオーデコロンに混ざる微かな煙草の匂いが大好きだ。
 会長専用の椅子に座った三上会長──の上に、横向きで座っている俺。座りながらお姫様抱っこされている状態だが、俺はこの密着感も大好きだった。

 この時間は誰も会長室に入って来ない。高層ビルの二十五階。大きな窓の向こうは開放感あふれる青空と広大なオフィス街の景色が広がっているが、誰も俺達のことは見ていない。

 大好きな三上会長と二人きり。こうして広い胸に甘えていると、自分は世界一の幸せ者なんじゃないかと思えてくる。

「来週は玉雪の十九歳の誕生日だな。プレゼントは期待してくれていいぞ。会場もどこか一日貸切ろう。どこがいい、遊園地か? 水族館か?」
「プレゼントはともかく……会場は俺の家で、会長と二人で過ごしたいです」
「良い子だな玉雪は」

 十九歳の誕生日が来たということは、俺が会長の「愛人」となって一年が経つということだ。
 俺と会長の一周年記念。実を言うと誕生日プレゼントよりも、俺には「欲しいモノ」があった。

「会長、午後のデザート召し上がりますか?」
「ああ、頂こう」
 会長の大きな手が俺の脇腹を支えて抱き上げ、デスクの上に座らせられる。捲ったシャツから覗いた肌に優しく口付けられ、俺は会長の整髪剤の香りを胸いっぱいに吸い込みながらその頭を抱きしめた。

「ん、……ふ……」
 口ひげがくすぐったい。唇は柔らかく、舌は熱い。会長の愛撫が大好きだ。乳首を軽く啄まれただけで体中に電流が走り、色々な部分が熱くなって胸がきゅんとなる。
「あ、ぁ……会長、そこは……」
「デザートだろ?」
 ぴったりと肌に吸い付くレザーパンツ(会長の趣味だ)のファスナーが下ろされ、ぷるっと飛び出したペニスを根元まで一気に頬張られる。この瞬間はいつも全身がぞわぞわして、泣きたくないのに涙が溢れる。