亜利馬、根性の新境地開拓 -4-

 獅琉の人差し指が、パンツのゴム部分を軽く引っ張った。そのまま下へずるりと下げられ、緩く勃起した俺のペニスが露出する。
 ──ここからが本番だ。

「亜利馬の可愛いココ、もっと可愛くしてもいい?」
 バスタブ横の棚から、獅琉がT字カミソリとシェービングクリームを取って言った。
「……ん。……う、ん……」
 元々薄い俺のそこに、獅琉がたっぷりとクリームを塗り込む。ついでに柔らかい毛をくしゅくしゅと揉まれて、頬がかっと熱くなった。
「じっとしててね亜利馬。……それと」
「獅琉、さん……」
「亜利馬のおちんちんの毛が剃られてくとこ、ちゃんと見ててね」
 唇を噛み、俺の股の間で楽しそうに笑う獅琉の顔を見下ろす。カミソリの刃があてられた瞬間は、思わずきつく目を閉じてしまった。
「ふ、ぅ……」
 小さく呼吸をしながらゆっくりと目を開け、獅琉の手を見つめる。カメラが獅琉の背中側から覗き込むように俺のそこを映し、それから、羞恥に赤くなった俺の顔をも舐めるように映していった。

 ピンク色の壁紙、天井。俺の頭の中もピンク色だ。獅琉が俺の半勃ちになったそれを傷付けないよう指で押さえ、そうしながら着実に俺の陰毛を剃ってゆく。それは何ともいえない感覚だった。決して気持ちいい訳じゃないのに、何故か体が熱を持つ……。
「はい、終わり!」
 カミソリを元の棚に戻して、獅琉が今度はシャワーを掴む。温めのシャワーで処理したヘアとシェービングクリームが湯槽の中へ流され、何も生えていない子供みたいな俺のそこがあらわになった。
「は、ずかし……」
「恥ずかしいね、亜利馬。もう十八歳なのに、つるつるになっちゃったね」
「あ、……あ」
 開きっぱなしの内股が震える。その震えがペニスにも伝わる。更に恥ずかしくなって、俺は真っ赤になった顔を片手で隠した。
「でも、何もなくなって逆にすっきりしたでしょ?」
「う……、うん……何となく」
「……それじゃ、洗って。亜利馬」
 シャワーを戻した獅琉が洗い場に移動し、用意されていたバススツールへ腰を下ろす。俺はもたもたと脚を戻してパンツを脱ぎ、バスタブから上がった。企画を聞いた時は「大したことない」と思っていたのに、まさかこんなに恥ずかしくて……ドキドキしてしまうなんて。

「し、失礼します……」
「うん、お願い」
 シャワーを使って獅琉の体をざっと流し、それを止めてからボディソープを手のひらに出す。そうして床の上に膝で立ち、ゆっくりと、マッサージをするように獅琉の背中を手のひらで洗う。
「痛くないですか」
「気持ちいいよ」
「……ん」
 俺は意を決して、獅琉の背中に抱き付いた。美しいのに逞しい獅琉の背中。そこに自分の体を密着させ、バブルバスとは違うぬるぬるとした泡を擦り付ける。乳首が擦れる感覚が気持ち良くて、俺の方がぼんやりしてしまいそうだ。
「獅琉、さん……背中、温かい……」
「俺も。亜利馬、洗うの上手だね。別のところも洗ってもらおうかな?」
 座ったままで獅琉が右手を横に伸ばした。
「どうやって洗うかは分かるよね」
「……は、はい……」
 その手を握り、跨いで、──獅琉の腕にペニスを押し付け、腰を前後させる。
「ふ、あっ、……あぁ……」
 これが想像以上に気持ち良くて、喘ぐ口元から涎が垂れた。剃毛したばかりの妙な解放感と気持ちの高ぶりから、必要以上に押し付けてしまう。ペニスの上面、裏側、それから二つの膨らみで……何だか獅琉の腕を穢しているような、凄くいけないことをしているような気分になる。
「亜利馬の柔らかいおちんちん、凄く気持ち良いよ。……夢中でお尻振って擦り付けて、エッチだね亜利馬」
「や、やです……獅琉さ、ん……言わないで……」
「何で? 可愛いのに。今度は反対の腕も洗ってよ。顔こっち向けて。俺にヤラシイ顔見せながら同じことして?」
「ん、んゃ……」
 のろのろと場所を移動し、再び、今度は獅琉の左腕に跨る恰好になる。目が合った瞬間、俺の中で変な震えが起きた。普段は優しい獅琉の笑顔が、物凄く妖艶なものになっていたからだ。
「やって、亜利馬」
 怖いほど美しく、鋭い微笑み。これが撮影でなくても、こんなふうに命令されたらきっと誰も逆らえない。