亜利馬、根性の新境地開拓 -3-

 バスタブの前に獅琉と向かい合って立ち、「待ってたよ」と台詞を言う。今回はドラマ仕立てになっていて、設定はソープで働く俺と常連の獅琉、というものだ。こんなファンシーな店なんて絶対にないけど、一応このセットは店の風呂場ということである。
「会いたかった、亜利馬」
「俺も」
 撮影用ガウンを着たままの獅琉と情熱的に抱き合い、唇に軽くキスをした。俺は始めから白い競泳パンツ一枚という恰好で、動くたび尻が食い込んで股がむずむずしてしまう。

 獅琉のガウンを丁寧に脱がし、そのまま床に置く。アシスタントさんがタイミングを見てガウンを回収する。俺達はもう一度キスをして、今度は舌を絡ませ合った。
「一緒に入ろう」
 泡がなくならないうちにバスタブの中へと獅琉を導き、そこでまた俺から獅琉の唇を塞いだ。柑橘系の良い匂い──風呂好きな獅琉のリクエストによる、オレンジを使ったバブルバス。泡でお湯の中は見えないけど、俺達はお互いの体を触り合って気分を高めながら、イチャついている様子を表現した。
「んっ、……」
「相変わらず、お尻柔らかいね」
「……その揉み方、エロくてちょっと恥ずかしいなぁ」
 獅琉の囁きに笑って返し、首にキスをする。ぴったりと密着して時折「あん」と作った声を出しながら、俺は獅琉の滑らかな白い胸元に頬ずりを繰り返した。いい匂いで、温かくて、心地好い。優しく抱きしめられれば更にとろけそうになる。片手で取った泡を頭の上に乗せられて、お返しに俺も小さな泡を獅琉の鼻先に指でくっつけた。

「亜利馬、いい匂いがする」
 体を少し倒して、今まさに俺が触れた鼻先で俺の首筋をくすぐる獅琉。その頭を撫でながらくすくすと笑う俺。今回は絡みの前を思いっ切り甘くすることで、絡み本番のちょっとコアな部分を緩和させる作戦だ。そのせいで俺の心臓は破裂しそうなほど高鳴っているけど、「甘さ」を出させたらインヘル1の獅琉が相手なら、たまにはこういうのも悪くないな……と思ってしまう。
「立てる?」
「……ん」
 お湯の中で立ち上がり、バスタブの縁に座らせられる。膝立ちになった獅琉が俺の首や耳の付け根を舐めながら、伸ばした指先で俺の唇をなぞった。
「あ……」
 唇が割られ、入ってきた獅琉の指を舌で愛撫する──苦いかなと思っていた泡は何の味もしなかった。そう言えばアシスタントさんが、口に入れても害のない泡だとか言っていたっけ。
 しばらくの間唾液と舌を獅琉の指に絡めていると、獅琉が俺の口から指を抜き、変わりに激しいキスをされた。
 弾む息、濃厚に絡む舌。さっきまで舐めていた獅琉の指がゆっくりと下りてゆき、俺の乳首を軽く転がす。その刺激に腰がビクリと跳ね、俺は獅琉とキスをしながら半分閉じかけた目を潤ませた。

「亜利馬。……ここにも、キスしていい?」
 獅琉が俺の乳首を弄りながら囁く。
「う、ん……。して、欲しい……」
 胸元に唇を寄せた獅琉の頭を片手で抱きしめ、俺は眉根を寄せて天井を仰いだ。右の乳首に被せられた獅琉の唇。その中で舌が動くたび、体中が痺れるような甘い刺激が走る。
「はぁっ、……あ……、気持ちいい……獅琉、さん……」
「可愛いよ亜利馬。すっごく硬くなってる……」
 乳首を愛撫する唇はそのまま、右手で泡をすくった獅琉が、俺の体にそれを塗り付ける。左側の乳首に脇腹、太腿──そして、獅琉の手に促されて脚を開いた俺の、内股に。
「やっ、あ……、あ、っん……」
 触れられるたびに体が疼いて、それこそ泡の弾けるような声が出てしまう。
 最後に俺の股間をパンツ越しに撫でながら、獅琉が嬉しそうに囁いた。
「ここも大きくなってる。……出しちゃうね」
「あ──」