ブレイズロックの日常 -3-

 午前零時、受付終了時間。
 まだまだ夜は始まったばかりだ。

「行こうよハルト、チル!」
 大河と腕を組んだ玲遠が楽しそうに笑い、その笑顔のままで隣の大河を見上げた。大河の方も心なしか嬉しそうだ。もう大丈夫だろう。この二人はきっと、俺が思う以上にずっと上手くやっていける。

「仕方ねえなぁ、祝儀替わりってことにしとくか」
「おーい、二人共。ハルトが奢ってくれるってさ」
「よっしゃ! そんじゃ俺達先に行ってるから、部屋の鍵ちょうだい」
 ハルトが投げた鍵をキャッチしたのは大河だった。
 二人が事務所を出て行くのを見送り、俺達もパソコンのシャットダウンやデスク回りの片付けに取り掛かる。電源オッケー、留守電オッケー、戸締りも確認した。待機室の掃除は明日早めに来てやればいい。

「チル、楽しそうだな」
「楽しいよ。多分、人生で一番充実してる」
 大事な仲間と仕事、それから大切な存在。俺にしては上出来すぎる東京での生活。地元で不貞腐れていた俺がこんな日々が送れるようになるなんて、人生本当に何が起こるか分からない。

 ボーイの立場からそれを教えてくれた玲遠と大河。
 大人の、そして男の視点から俺を認めてくれたハルト。

「お前が笑ってると俺も嬉しくなる」
 その男らしい顔立ちと、大きな体と温かい手のひらと。
 厳しさの中にある思いやりと、仕事に対する真剣な眼差しと。それから。
「ハルトのためなら、幾らでも笑うよ」
「おう! じゃあ俺も、チルのこと一生笑わせねえとな」
 その優しい笑顔──どんなに俺が癒され、救われてきたか。
「見てよハルト」
「どうした?」
 これからは俺も、ハルトに沢山のものを与えられるように。
「月が綺麗だ」
「お、……」

 この先もずっとずっと、最愛の彼のために成長して行くと決めたんだ。

 

 僕らが恋をする理由・終