幸せと涙に濡れる夜 -8-

 痛みはハルトを感じているからだ。それを受け入れられるのはハルトを愛している証拠だ。
「ハルト……! あ、あぁっ……、ハル、……!」
 俺は零れた涙も拭うこともせず全身でハルトにしがみつき、精一杯の愛情を声で伝えようとした。
 打ち付けられる度、体中に電流が発生するかのようだ。触れ合う肌を包み込む火傷しそうなほどの熱に、ハルトの息使いが俺の鼓膜を愛撫している。
「チル、愛してるよチル……!」
「ハルト……、俺も……あ、あっ……!」

 他の誰のことも知らない俺の中を、深く深く、何度も強くハルトが抉り貫く。熱い先端が奥へと到達する度に腹の底が押し上げられ、引き抜かれる度に腰から背中、そして俺の、ハルトと同じ男の証が──悦びに震え、激しく痙攣した。
「すげえ気持ちいい。チル、俺マジでこんなの初めてかも、……」
「ほ、ほんとに……嬉し、ハルト……」
 上気するハルトの頬。飛び散る汗、ぶつかり合う体と体。俺は大きく開いた両脚をハルトの腰に絡ませながら背中を逸らせて、無意識のうちにより深くハルトのそれを受け入れようとしていた。
「はぁ、……チル……!」
 ハルトに名前を呼ばれると、胸の奥がきゅっとなって体に力が入ってしまう。眉間に皺を寄せたハルトの顔が綺麗で男らしくて、更に気持ちが高ぶってしまう。
「ああっ、あ……! やっ、あぁ……、ハルト、……熱、い……!」
「チル、悪い。俺のが余裕持てねえかも。既にイきそ、……」
「いい、よ。ハルト、……出して欲し……俺の中で……」
「……お前も」

 ハルトの手が俺のそれを握り、前後に激しく扱き始める。
「んンっ、……! あっ、あぁ……だ、め……!」
「すげえ熱くなってんじゃんかよ」
「だ、だって……気持ち、い……!」
「そのうちケツだけでイけるようにしてやるからな」
「何言って……あぁっ、やっ、ハルト……!」
 激しくも淡い快楽の中で限界を迎えようとしていた俺の体が、更に強烈な刺激で熱を帯び始める。呼吸が早まり、ハルトの背中をかき抱く手にも力が籠る。
「ん、ぁっ……! ハルト──もう、イく、っ……!」
「──ん、……俺も」
「ふあ、あっ……!」

 腰から内股が痙攣し、俺はハルトの手に導かれるまま絶頂に達した。同時に、俺の中で動きを止めたハルトのそれが奥深くで熱を吐き出す。
「はぁ、……あ、……」
 互いに茫然と見開いた目で見つめ合う。肩を上下させるハルトの顎から、一滴の汗が落ちた。
「……ハルト」
 呟きに答えるように、ハルトが柔らかく笑う。俺の大好きなハルトの笑顔。堪らなく幸せな気持ちにさせてくれる、何よりも温かな優しい笑顔だ。
「悪い、全然もたなかった」
「い、いいよ別に。俺だって全然我慢できなかったし……」

 照れ臭くなって笑う俺達はその夜、本当の意味で一つになった。

 きっともう離れることはない。
 生まれて初めて好きになった男が、ハルトで良かった。