幸せと涙に濡れる夜 -7-

「……はぁ。お前の反応見てると、俺もまだ捨てたモンじゃねえなって嬉しくなるよ」
「だ、だってこんなの、我慢できる訳がっ……」
「もっと鳴かせたくなる」
 そう言ってハルトが俺の尻を軽く叩き、自分の上から退くよう促した。ベッドに仰向けた俺は荒い呼吸を繰り返しながらハルトを見つめ、次に何をされるのかと心臓を高鳴らせた。

「……ん」
 ハルトの体温が俺を包み込む。触れ合う肌と肌が心地好く、心の底から熱い溜息を吐き出す。優しく口付けられるのは頬と首筋、少し荒々しく撫でられ押し広げられるのは、俺の内股だ。
「う、……ぁ、……」
 片足を大きく開かされた状態で、ハルトの濡れた指が俺のそこに突き立てられた。狭い入口をゆっくりと解され、俺が体を固くさせる度に何度もキスをされ、どこまでも優しいハルトの愛撫に俺の緊張も少しずつ和らいでゆく。

「──あっ!」
 中で曲げられた指が俺の敏感な部分を擦った。瞬間的に内股に力が入ってしまったけれど、すぐに小さく深呼吸をしてハルトの肩に額を押し付ける。
「ふ、う……! んぁっ、……」
「チル」
「な、に……?」
 ゆっくりとハルトの顔を見上げると、そこにはハルトの濡れた瞳があった。

「ありがとうな。俺はお前のお陰でまた人を好きになることができた」
「あ、……」
「誰かを好きになるってのはさ、当たり前のように思えて実はそうじゃねえんだよ。生きてく上で恋愛なんて絶対必要なモンじゃねえだろ。俺には結婚ってモンが出来ねえし、子孫も残せねえ。それでも人を好きになるってのは、もう、人知を超えた何かの力によってそうさせられてるのかもしれねえな」
「……単純なことだよ」
 ハルトの頬に触れ、俺は少しだけ微笑む。

「俺はハルトを好きになって成長できたよ。知らないことも知れたし、一人じゃ体験できない幸せな気持ちになって、ハルトのために頑張りたいって思えた。……誰かと恋愛するのって、お互いに高め合って二人で成長していくためなんじゃないかな」
「チル」
「それは人知を超えた何かの力じゃない。むしろ、それすらも飛び越したところにある俺達の『意思』だ。大河達だってそうだよ。お互いに無い物を求め合って、きっとこれから二人で成長していける」
 そこでようやくハルトが笑ってくれた。──好きな人を笑わせることができた。これだって一つの「幸せ」だ。

「いつもぼんやりしてる癖に、そんなこと考えてたんだな」
「だっ、だって。だってさぁ……!」
 急に恥ずかしくなって慌てる俺の頭を、ハルトが包み込むように胸に抱いて撫で回す。
「いや、年下に諭される日が来るとは思わなかった。俺もまだまだだな!」
 そして──中から抜いた指の代わりにハルト自身のそれがあてがわれた。ハルトにしがみつく俺の手が、少しだけ汗ばむ。
「大事にするからな、散宙」
「──ん、っ!」