世話焼きボーイ -9-

「っ、……」
 呼ばれて振り返ると脱衣所にハルトがいた。腕組みをして壁に寄りかかり、困ったような顔で笑っている。
「ちゃんと話し合おうぜ。このままじゃお前が気まずいだけだろ」
「別に気まずくなんか……」
「ていうか、俺の方がお前を意識しちまう、って方が正しいか」
「……俺なんてとっくに」
 バスタブに溜まって行くお湯の音で、俺の呟きはかき消された。

「十四も年下のお前に気を遣わせるなんて情けねえな。……お前が俺でもいいって言うなら、正直、今すぐ抱きてえけど、……」
 ハルトが言葉を区切り、ばつが悪そうに視線を逸らして頭をかいた。
「初心なお前の好奇心を利用してるようで……」
「………」
 赤くなったハルトの顔を見ているうちに段々と可笑しくなってきて、俺はつい噴き出してしまった。

「な、何で笑うんだよ」
「だってハルト、初めて会った日の夜には俺にあんなことしてきた癖に」
「あれはお前、違うだろ。お前に俺の仕事を教えてやっただけで……」
「……じゃあ、……あの続き。教えて欲しい……」
「チル」
 恐る恐る伸ばした俺の左手を、焦りながらもハルトが握る。

「これも『仕事』だろ。責任もって教えてよハルト、……」
「………」
 ハルトに手を握られたまま、俺は赤くなった顔を逸らしてわざとむくれたように言った。
「……だって、ハルトが俺をこの仕事に引き込んだんだからさ。ちゃんと、分からないことは……全部教えてくれ」
 それが完全なる俺の照れ隠しだとハルトは分かっているだろう。
 だからハルトは笑って、こう言ってくれたのだ。
「一緒に風呂入るか」
「………」