世話焼きボーイ -7-

「……何だ?」
「あ、えと別に、大したことじゃないんだけど……。昼に玲遠さんが言ってたこと、変な風に思わないでくれよ。別に隠してた訳じゃない。後ろめたいんじゃなくて、単純に恥ずかしかったから……言えなかっただけで」
「………」
「俺の立場でボーイさんとそういうことしたら駄目だって、今ではちゃんと分かってる。でも信じて欲しいのは、それがきっかけで俺と玲遠さんが変に拗れてる訳じゃないってことと、玲遠さんも何か企んだり悪気があってやったことじゃないってことで……」
 ハルトが箸を持ったまま手をあげ、俺の言葉を遮った。
「……ハルト」
 その顔は赤い。珍しく照れているのか、とにかく俺の知る限り初めて見る顔だ。

「勘違いしなくていい。何も怒ってねえし、詮索する気もねえよ。……ただ俺は、……」
「………」
「俺はその……お前らが。お前と玲遠が」
 何を言われるのかと、俺はゴクリと唾を飲んで身構えた。
「……お前らが絡んでるところを想像して、正直、めちゃくちゃ興奮した」
「はっ……?」
「悪い。当分の間はズリネタにするわ」
「ちょ、やめろ馬鹿! 変な妄想するなっ!」
 考え込んでいた自分が馬鹿みたいだ。俺は手のひらでテーブルを叩き、申し訳なさそうに笑うハルトの顔に米粒を飛ばしてしまった。

「社長が従業員でそんな妄想したら駄目だろ!」
「社長である前に一人の男だからなぁ……」
 恥ずかしいし焦ったけれど、冗談みたいな方向に話が進んでホッとした。玲遠ももしかしたらハルトがこういう性格だと知っていたからこそバラしたのかもしれない。俺の口からは言えなかったそれをハルトに知られたことで胸のつかえが取れた気がして、俺は赤面しながらも少しだけ笑った。
「でもお前も今言った通り、ボーイとはそういうの禁止だからな。どうせ玲遠の方から仕掛けてきたんだろうけど、次はちゃんと断れよ」
「わ、分かってる。ていうか、もう二度とないと思うし……」

 そこまで言いかけて、俺はふと気付いた。

「……だけどハルトも昔、玲遠さんと関係あったんだろ」
「は?」
「付き合ってたんでしょ。玲遠さんと」
 驚いたように口を開けて、ハルトが俺を茫然と見つめる。ややあって全てを悟ったのか急に表情を崩して笑い出し、「馬鹿だな」と頬杖をついて言った。

「付き合ってねえよ、昔も今も。ただの一度もな」
「でも、……口説いてたって」
「玲遠はウチに来る前、ずっと公園で客取ってたんだ。安い金で、汚ねえ茂みの中でさ。俺はそんなあいつを何とかウチに所属させようと思って必死に『口説いてた』ってわけ。分かるだろ、あれだけ有望な男を危険な目に遭わせてむざむざ潰したくねえって」
「そ、そういうことだったの?」
「俺は玲遠を含め、従業員の誰ともセックスしてねえ。ていうかここ半年は従業員どころかそれ自体全然……自家発電の毎日よ」