ライオンとトラ -3-

「じゃなきゃ、俺達のことなんていつまで経っても理解できない」
 言われた意味を考える間もなく、玲遠が肩を抱き寄せてきた。急に距離が縮まって息が止まりかけ、思わず唾を飲み下す。
「玲遠、さん……」
 鼻先数センチのところにある玲遠の整った目鼻、それから唇。意地悪く歪んでいるのに、玲遠はこんな時でも溜息が出るほど美しかった。
「散宙は男相手だと無理?」
「か、考えたこともないですって……」
「そう? 撮影の時、俺のことそういう目で見てたのに」
「そんなこと、……」
 ない、と言い切れないのが悔しかった。
 玲遠の艶っぽい視線や半開きの唇や、真っ白い脚の付け根が頭の中に浮かんでくる。俺はあの時、生まれて初めて男に対して情欲を感じてしまったのだ。

「ハルトとヤッた?」
 囁かれ、首を横に振る。
「ふうん。じゃあ俺が教えようか。大河と二輪車で、特別にタダでいいよ」
「えっ……!」
「先輩、俺を巻き込むのやめてもらえませんか」
「だって暇だろ。散宙くんが相手してくれるって」
「何言ってんですかっ……そんなの、できる訳がっ……!」
 叫んだのと床に倒されたのと、ほぼ同時だった。
「う、わっ」
 玲遠が片手で俺のシャツを捲り、嬉しそうに笑う。
「あは。散宙の乳首美味しそう。舐めていい?」
「やっ、やです! 絶対に嫌ですって!」
 既に組み敷かれている状態だ。玲遠は濡れた舌をちらちらさせながら、甚振るような目で俺を見ている。平らな胸板に息がかかり、その部分だけが妙に熱い。

「嫌なら、別のとこいただいちゃうけど」
 そう言って玲遠が俺の股間を鷲掴みにした。瞬時にして鳥肌が立ち、全身が震え出す。
「そ、そこは駄目……嫌ですってば!」
「じゃ、やっぱりこっちだ」
「んんっ……!」
 口を塞ぎ、強く目を閉じる。熱い舌の感触に背中が波打ち、思わず目尻に涙が滲んだ。
「ん、あっ……! やめて、玲遠さ、んっ……!」
 切れ切れに訴えながら薄く目を開けると、俺の乳首を口に含んだ玲遠と目が合った。その目がニヤリと笑う形に細くなり、次の瞬間、わざといやらしい音をたてて舐め回される。
「やっ──あぁっ、あ、駄目、……やめ、てっ……」
 舌で弾かれ、啄まれ、再び口に含まれる。舌と唾液が俺の小さな突起に絡み付き、玲遠の口の中でくちゅ、くちゅ、と音をたてて吸われる。腰が震えて視界が潤み、いつの間にか抵抗する気は起きなくなっていた。

「うあっ、あ……。れお、ん、さん……。駄目……」
 ぷは、と玲遠が俺の胸から顔を上げる。
「蕩けた顔。散宙、乳首だけでイッちゃいそう?」
「あ、う……」
「でもイかせないよ。散宙は男とするなんて考えられないんだもんな?」
「………」
「そんな気持ち良さそうな顔しちゃって、説得力ないけどね」