第8話 静かの夜に -2-

 トラの子ロンメルには、家族がいませんでした。お父さんとお母さんは、悪い人間に鉄砲でうたれてしまったからです。
 悲しい気持ちでロンメルが歩いていると、リスの子が泣いていました。
「せっかく集めたごはんを、いじわるな鳥が狙っているんだ」
 ロンメルは空に向かって吠え、意地悪な鳥を追い払ってあげました。

 また歩いていると、カメの子が泣いていました。
「僕は早く走ったことがないから、みんなが笑うんだ」
 ロンメルは背中にカメの子を乗せて、風を切るような速さで走ってあげました。

 また歩いていると、キリンの子が泣いていました。
「おいしそうな木の実があるのに、僕の首じゃあ届かないんだ」
 ロンメルは木に体当たりをして、たくさんの木の実を落としてあげました。

 また歩いていると、ロンメルと同じトラの女の子が泣いていました。
「怖い人間が、お父さんとお母さんを鉄砲でうってしまったの」
 ロンメルは一晩中、じっと女の子のそばに寄り添ってあげました。

 お父さんとお母さんに会いたいと思いました。ロンメルは一人ぼっちで、とても寂しい思いをしていました。寂しくて悲しくて、眠りながらずっとずっと泣き続けました。

 次の日になって目を覚ましたロンメルの体には、葉っぱの布団がかぶせてありました。
 周りにはおいしそうなごはんがたくさんあって、リスの子と、カメの子と、キリンの子もいました。
 ロンメルと同じトラの女の子が、ニコニコ顔で言いました。
「みんな、きみのことが大好きよ。きみが寂しくないように、みんなで一緒に暮らそうね」
 ロンメルは一人ぼっちじゃなくなりました。それからみんなと一緒に、ずっとずっと幸せに暮らしました。