第5話 ぜんぶ初めての夜 -6-

「な、何で笑う。お前、何笑ってんの!」
「悪い。だって翼くん、すげえ武虎にそっくりだったからよ」
「え? た、武虎?」
「必死になった時の喋り方とか、問いかけ方とかさ。困ったように目見開いて相手をじっと見つめながら捲し立てるの、武虎の癖だろ。いやいや、なるほど。元々は翼くんの癖だったんだな」
 恥ずかしくて口を噤むと、蒼汰が目元を拭いながら尚も笑った。

「変なことで心配するなよ。俺は翼と他の奴らを比べようなんて、これっぽっちも思ってねえんだからさ」
「でも俺は、……」
「好きだぜ、翼」
「っ……」
 距離を詰めてきた蒼汰が、俺の唇に軽くキスをした。
「これで安心したか」
「……し、したかも」

 寝たままの体勢でキスをすれば、自然と二人とも相手に手が伸びる。抱き合えば体が触れ合うし、体が触れ合えばもう、……
「んっ、……あ、あぁっ……」
「……翼、……」
 肌を這う唇、熱くて蕩けそうな吐息、柔らかな筋肉とその温もり。さっきまでの焦りが嘘のように、俺は蒼汰を深く求め始めていた。
「気持ちいい?」
「ん、……いい……。気持ち、い……。じんじんするっ……」
「俺もすげえじんじんする、痛いくらい」

 舌先が絡み合うと同時に、視線と吐息までもが絡み合う。「それ」は互いに握り合った「その部分」に感じる「それ」よりも刺激的で、情熱的で、エロティックだった。

「翼、力抜け」
 その言葉にドキッとして、俺はきつく唇を噛みしめた。蒼汰の指が俺のモノから離れ、更に奥へと潜り込んでくる。
「んっ、……」
 俺の体液でべとついた指は、意外とすんなり中へ収まってしまった。だけどそれはあくまでも指だけ、だ。
「蒼汰……変な感じ、する……」
 大きく開いた内股が痙攣し、仰け反らせた背中に痛みが走る。蒼汰の指は俺の奥深くに侵入し、更にその奥までをも探るかのように蠢いている。肌が粟立つようなぞくぞくとした感覚に、俺は堪らず悲鳴をあげた。

「いっ、あ……あぁっ! 蒼汰っ、や……!」
「痛てえか。ごめんな、もう少しだけ我慢」
「ん、──あっ、あぁっ」
 散々俺の中を弄った後で、蒼汰がぬるついた中指を抜いた。
「う、ぁ、あ……」
「今日は指だけにしとくか?」
 かぶりを振って蒼汰にしがみつき、涙混じりに訴える。
「い、れて……いい。蒼汰、俺……挿れて、欲し……」
「翼」
「多分、俺、蒼汰じゃなきゃ無理だ……」