亜利馬、己との闘い -3-

「あぁっ!」
 きつい競泳パンツに押さえ付けられていた俺のペニスが、反動でぶるんと飛び出す。恐々目を開けてそこを見ると、俺のそれは思い切り反り返っていた。照明で白く光っているそこへとカメラが寄り、それこそねっとりと舐めるように映される。
「ふ、あ……」
 愛撫を求めてピクピクと痙攣しているペニスには、まだ触れてもらえない。露出したまま放置という状態が歯がゆくて、俺は既に濡れている自身の先端を涙目で見つめていた。

「触って欲しそうだね、亜利馬」
 こくこくと頷いてねだったが、まだ触れてもらえない。この後の展開も分かっているのに、……分かっているからこそ、今すぐ刺激が欲しくて堪らなくなる。
「どうして欲しいか言ってごらん」
「あ、……俺の、ぉ……」
 普段なら何の躊躇いもなく言えるのに、こういう時にそれを言うとなると、何でこんなに恥ずかしくなるんだろう。
「俺の、……──、触って、……欲しい……」
 無理矢理そういうことを言わせるのも一種のプレイらしい。乳首の時と同じように、普通なら「よく言えたね。ご褒美だよ」となって、極上の愛撫を受けられそうなものだけど……俺の場合、この後が全くの未知プレイとなっている。

「よく言えたね亜利馬。ご褒美だよ」
 俺のパンツを脱がしたモデルが、画面外から手渡された「ソレ」を俺に見せる。黒いシリコン製の「ソレ」は手のひらに収まるほどのサイズで、形だけでいうと小型のシェーバーみたいだ。もちろん素材も用途も違うけれど。
 底には穴が空いていて、そこからペニスを突っ込むこととなる。
「あ……」
 垂直に上を向いた俺のそれに、黒いシリコンの玩具が装着される。穴の中は温かく、微妙な凹凸がたくさん付いている感じがした。
 亀頭だけをすっぽりと包み込んだそれの本体には、電源の青いライトが小さく光っている。モデルが手にしたリモコンから色々な操作ができるのだ。

 息を呑み、一体どうなってしまうのかを待つ。
「──ふ、ぁ……? あ、何……何これ、……」
 ゆっくりと動き始めた内部の凹凸。それと同時に、──
「……ああぁっ! あっ! だ、だめ、だ……! んっ、あぁぁ……!」
 ペニスの先端に物凄い振動がきて、俺は座ったまま足に力を込めて腰を浮かせた。纏わり付く凹凸と痺れるような振動。取って欲しくて腰を振るが、俺のペニスが揺れるだけで玩具は亀頭に吸い付いたままだ。
「やっ、あぁぁ……! これ、やだっ……あぁっ、──あんっ!」
 もはや演技でも何でもない。本気で止めて欲しいのに、なのに……
「やあぁっ、……! は、ぁ……もう、あぁっ……!」
 リモコンを持ったモデルがそれを取ってくれるどころかその場にしゃがみ、ペニスと一緒に露出していた俺の二つの膨らみの片方を頬張ってきた。
「んやっ、あぁ……!」
 同時に左右の乳首もまた激しく嬲られる。全ての性感帯をめちゃくちゃに愛撫されて、俺は半ば本気で泣いてしまった。両手を拘束されているから涙も鼻水も拭けない。ぐちゅぐちゅと玩具に吸われている俺のそこも、もはや大号泣だ。
 ──縛られてるなら動かなくていいんだもん。
 ユージさんの言葉が頭に過ぎったが、とんでもない。こんなのがずっと続いたら頭がおかしくなってしまう。

「やだ、……やだぁっ……! あぁぁっ、──!」
 頑張れ、亜利馬。もう少しで射精していいタイミングがくる。だからそれまで耐えろ。頑張れ……!
「んあぁっ、んンっ……! やっ、あぁ……!」
 これはもう己との闘いだ。快楽と理性の間で行ったり来たりの俺の精子。その精子が詰まっている玉はしゃぶられているし、先端は塞がれているし、何も出ない乳首も吸われまくってるしで、もう、……俺はもう──
「イく……! イっちゃ、う……!」
 ちょっとタイミングは早かったかもしれないけど、これ以上はとても我慢できなかった。
「もう無理っ、ぃ……! イくっ──」
 玉を舐めていたモデルが立ち上がり、亀頭の玩具を素早く外した。そして──
「んあぁっ……!」
 恐らく十八年間生きていて初めてというほどの量と飛距離を兼ねた精液が発射された。
「はあぁ……ああぁ……おかしく、なっちゃ、……」
 無意識で呟いた俺の顔にカメラが寄る。あと一歩で白目を剥いていたのではと思うほどの酷い顔がアップで映されたが、今の俺にはもう、恥ずかしさなんて微塵も残っていなかった。