#9 マカロのたいへんないちにち -8-

「な、なに……最後のテストって、まさか……」
 下げたファスナーの中から飛び出した先生のそれが、俺のそこにあてがわれた。
「だ、だめ……」
「うん? どうして?」
「それだけはだめ……絶対、だめ……!」

 にち、と音をたてて先端が入口を押す。俺は先生の肩に手を置き、力が入らないなりに懸命にその体を突き放そうとした。
 絶対だめだ。だって、これってセックスだ。
 初めては好きな人とがいいって、ずっと思ってたやつだ。炎樽も天和に初めてを捧げた。俺だって夢魔だから性には貪欲なタイプだけど、だけどせめて初めてだけは──
「マカロ君、大人しくして。傷付けちゃうよ」
「先生っ、やめて……やめてくれよぉ……! 好きな人としか、しちゃいけないんだから、あぁ……!」
「ふふ」
「あっ……!」
 その一瞬、頬を涙が伝った。

「あ、あ……」
「入ってるよ、マカロ君」
「うぁ、あ……お、俺……」
 先生のそれが俺の中を貫いて行く。呆気ないほど簡単に、俺の「初めて」が奪われて行く。痛みは体よりも心の中に強く感じた。別に大事に取っておいた訳じゃないけど、それでもまさかこんな、よく知りもしない人に……。

「うえぇ……ひ、ひどい……」
「泣かないでよマカロ君。気持ち良くしてあげるから、力抜いて」
「せんせいのばかっ……あぁっ!」
 泣きじゃくる俺を見て満足気に笑いながら、先生が俺の体をテーブルへと完全に押し倒した。そのまま両脚を持ち上げられ、先生の腰が一度引いて、──再び強く打ち付けられる。
「あっ、あっ! い、嫌だぁっ! うあっ……」
「はあ、夢みたいだ。こんな可愛い子と学校で……」
「変態! 嘘つき! 離れろよ、ぶっ殺すぞ!」

 大きな手で俺の頬に触れ、意地悪な笑い方をしながら先生が言った。
「そんなべそかいて啖呵切っても、逆効果にしかならないよ? それに……ほら、マカロ君のお尻は僕のペニスを喜んで受け入れてる。本能で分かってるんじゃないのかな、ずっとこうしたかったって」
「そ、そんな訳ないっ……! お前となんかしたくないっ!」
「そうかい。じゃあ、気持ち良くなったら負けだね」
「ならない!」
 再び先生の腰がゆっくりと引かれ、また強く打ち付けられた。
「──あぁっ!」
 続けてもう一度、またもう一度、更に……どんどん腰の動きが速くなって、俺はもうまともに喋れなくて、ただ先生の肩に置いた手で強くシャツを握った。

「あんっ! や、やあぁっ! ああぁっ、あっ、……!」
「可愛い声だね。その顔もさ」
「うあっ、あぁ……! もう殺せ、っ……殺せよぉ!」
「大袈裟だなぁ……」
 先生の唇が間近に迫ってきて、俺は思い切り顔を背けた。だけど無理矢理顎を捕らえられ、強引にキスをされる。
「んんぅっ……や、らぁ……!」
 絡む舌が熱くて頭の中がぼんやりしてしまう。だめだよ、こんなので蕩けてたらこの男の思うツボだ。分かってるのに、どうして……どうして……

「た、すけて……」
「マカロ君、……やっとお尻、馴染んできたね」
「たすけて、さばら……」
 俺はぼろぼろ零れる涙を拭いながら、心の底からその名前を叫んだ。

「サバラあぁ──っ!」

「ここにいるよ」
「………」
 ──え?