#6 夢魔たちの休日 -10-

「天和が言うことも当たっているのかもしれないな。マカロ、自覚がないだけでお前はネコなのかもしれない」
「もうよく分かんねえ……ていうかもう、どうでも良くなってきた。考えたら別に、種取るのにタチネコなんて関係ねえもん。セックスって形があればそれで」
 頭を掻き毟りながら投げやりに言うと、サバラが目を細めて薄く笑った。まだ性知識のない子供を微笑ましく思っているかのような、大人の余裕の笑みだ。同じ頃に生まれた俺達なのに、どうしてこんなに差が付いてしまったんだろう。

「こっちに来て座れ、マカロ」
「なに?」
 言われて立ち上がり、ソファの上──サバラの隣に腰を下ろす。まじまじと顔を見つめられて何やら気味の悪いものを感じたが、こうして見ると顔だけは綺麗だなとサバラの美しさを再確認してしまう。俺がまだ本当に子供だった頃は、この水色の目に憧れていたっけ。水をいっぱい飲むと目が青くなるというサバラの嘘を信じて、死にかけたこともあるけれど。

「………」
「……何だよ。じっと見られると恥ずかしくなる」
 ふいに、サバラが伸ばした手で俺のシャツを大きく捲り上げた。
「わっ!」
 そして無言のまま、今度は俺の体を見つめている。訳が分からなくて頭の中に疑問符を撒き散らしていると、ようやくサバラが俺の顔に視線を戻して言った。
「俺に抱かれてみる気はあるか」
「え?」
「俺とセックスしてみるか、って聞いてるんだ」
「嫌だけど……」
 というよりも、唐突過ぎて何て答えたら良いのか分からない。サバラをそんな風に見たことがないから、いきなりセックスと言われてもピンと来なくて……
 ていうか──何言ってんだ、こいつ。

「ヤれるなら俺でも構わないってことかよ?」
「そういう意味ではないが……」
「そうじゃん。いつもサバラって俺より上に立ったつもりで、俺のこと見下してるし。子供の頃から俺のこと好き勝手におもちゃにして、……優秀だからって、俺に何しても許されるって思ってるんだろ」
 悔しくてしかめっ面になる俺を見て、サバラが笑った。
「つまらんことを根に持ってるんだな。だからお前はいつまで経っても子供のままなんだ」
「ほ、ほら! そうやって俺のこと馬鹿にしてさぁ!」
「可愛い奴ほど意地悪したくなる、男の心理を全く分かっていない」
「だからっ、……」

 ──うん? 可愛い?

「可愛いよ、マカロ。子供の頃から純粋な奴だ。……悪魔のくせに」
「な、なに? 何なの? サバラお前、何言ってんの?」
 肩に触れたサバラの手が、そのまま俺の上体をソファへ倒した。
「わっ……!」
 それから床に下ろしていた脚を持ち上げられ、大きく広げられ、更に開いた脚の間にサバラが自身の腰を入れてくる。あっという間に身動きが取りづらい恰好になってしまったのに、それでも俺は混乱していた。
「何なんだよっ? 意味分かんねえっ……」
「理解しなくていい。黙って俺だけを見ていろ」
「っ……」
 サバラの唇が、俺の首に触れた。