#5 エロス&インテリジェンス -11-

「全然エロくない! こんな眼鏡、外したいくらいなんだぞ!」
「なに怒ってんだよ、急に」
 とにかくこの場で突っ立って喋っていても仕方ないということで、天和が俺の手からマカロを抱き上げ、片手で俺の腕を掴み歩き出した。

「……なるほどな、ふざけたゲームのせいでお前の視力が悪くなったってことか。でも解決できるモノなんだろ」
「ああ。そのためにマカが今必死でゲーム攻略してくれてるってわけ。……でも口数少なくなってきてるから、魔力消費するのも段々しんどくなってきてるんだと思う」
 歩きながら天和に一通りの説明をする俺。もちろん、この眼鏡に関することは一切話していない。

「………」
 何だかよく分からないけど、全裸の天和に腕を引かれて校内を歩くなんて変な感じだ。
 相変わらず逞しくて男らしい胸板や上腕、がっしりとした腰回りなどは、彰良先輩とはまた違うタイプの芸術感がある。格闘家見習いって感じの程よく鍛えられた肉体は天和が歩くたびにしなやかに動き、俺の腕を掴む手にも力が入っているのが分かる。
 彰良先輩が彫刻や絵画などの「静の美」なら、天和は映像やライブで見たい「動の美」といったところだろうか。
 ……考えていたら段々と変な気持ちになってきた。さっき目にした彰良先輩の裸体や、これまで色々と天和にされてきたことを思い出してしまったからだ。

「ほたる」
 天和に抱かれていたマカロが、スマホ画面から俺に視線を向ける。鼻をすんすん鳴らしているのは、恐らく俺の匂いが強くなったからだ。
「や、やばい……」
「どうした炎樽」
「た、天和。早くどっか隠れないと、……」
「飯食うんだろ、隠れるにしても体育倉庫とかの方がいいか」
 俺の匂いを探知できない天和が、悠長に呟きながら体ごとこちらを振り返る。
「っ……!」
 油断していたところに突然天和のそれらを含めた体が視界に飛び込んできて、俺の顔が一気に赤くなった。
 と、同時に──

「いたぞっ、比良坂炎樽!」
「げっ!」
 一体どこから嗅ぎつけてきたのか、それとも偶然この辺りを歩いていたのか──とにかく例の三年連中が俺を発見し、廊下の奥から猛然とこちらに走ってくるのが見えた。
 もちろん全員全裸だ。全裸の集団が五、六人。俺の名前を叫びながら突進してくるその光景は想像以上に恐ろしいものがあった。