陽太の奉仕と媚薬騒動 -6-

「どうだ。媚薬効果とやらは、ありそうか?」
 片手で二本のペニスを握り合わせながら、飛凰が俺の耳に囁く。
「いつもと変わらない感度のように思えるが?」
「あっ、う……飛凰様、意地悪です……! あっ、そんな、に……強く……」
「お前は面白い男だ、陽太」
 飛凰の舌が俺の耳朶に触れる。
「親父に聞いていた『金魚』の奥ゆかしさなど、お前には欠片もない。俺はそれが気に入ったんだ。主の言いなりになるよりは自分から跨ってくる度胸や好奇心のある男の方が好きだぞ」
「す、すいません……はしたなく、て……あぁっ」
「良いさ。声を我慢するような美学を持つより、お前には俺の愛撫を貪欲に求めて欲しい」
 ああ、飛凰様で良かった。「親父」じゃなくて本当に良かった。

「……ん」
 ふと視線を落とすと、飛凰が眉間に皺を寄せて唇を噛んでいた。
「ど、どうされました飛凰様──あっ?」
 飛凰に握られていたそれが、瞬間、燃えるように熱くなる。
「やっ、……な、何だこれ……!」
「陽太っ……」
 まるで火をつけられたみたいな熱さだ。痛いほどに屹立した俺と飛凰のペニスはまるで心臓のようにドクドクと脈打ち、行き場のない熱がその中を縦横無尽に蠢いている。
「あ、……熱い……!」
「だ、大丈夫か陽太っ……」
「飛凰様、こ、ここは一度、冷やして……」

 オイルのせいであることは明白だった。人肌に触れると温まるオイルは俺も仕事で使ったことがあるけれど、これはそんな生易しいものではない。正直言って痛いくらいなのだ。そこが熱いだけで体全体が燃えるようで、今すぐ水風呂に飛び込んでしまいたかった。
「陽太、落ち着け。……恐らくこれは冷やすよりも、一度熱を吐き出した方が良さそうだ」
 そう言って飛凰が再び手を動かし始めた。
「ああぁっ! だ、駄目です飛凰様っ……今擦られたら、あぁっ!」
「くっ、……辛抱してくれ、陽太……」
「や、あぁっ……!」
 息が苦しい。心臓の高鳴りが止まらない。このまま意識がなくなってしまいそうで、──怖い!
「ああぁ──ッ!」
「……は、あぁっ……」

 *

 ……全く、とんでもない物を買ってしまった。あんなもの、媚薬どころか拷問の道具じゃないか。
「一気に使い過ぎただけか……? 背中に塗った時は大丈夫だったもんな……」
 あの後は飛凰とお互いに三回射精してようやく熱が収まったものの、完全に元に戻るまで何時間も使ってしまったためセックスどころじゃなくなってしまった。
 俺が奉仕すると決めた夜だったのに。
「こういうこともあるさ。気を落とさずに今夜はゆっくり休め」
 飛凰はそう言っていたけれど、俺は落ち込んでいた。
 俺が選び神崎家の名で購入した物が、あろうことか飛凰に苦痛を与えてしまったなんて。寝室へ入る時の飛凰の顔はげっそりしていた。今夜は気を遣わず一人で寝てもらおうと、俺も自分の水槽に戻ることにしたが……

「クソ……!」
 ヨトギ製薬。次会ったら文句言ってやる。