思いと気持ち -4-

「とは言え」
 感情と雰囲気に押されてその体に抱き付こうとした瞬間、勇星が俺の前に人差し指をつきつけて言った。

「正直言って今すぐ押し倒してえ気分だが、それをすると俺のせっかくの告白に信憑性がなくなるからな。千歩譲って、今は手を出さねえでおく」
「はあ……」
「俺に抱かれてもいいと思ったら音弥くんのタイミングで言ってくれ。それまで俺はお前を抱かねえから、安心しろ」
「変な所で律儀になるんだな。今まで散々俺にセクハラしたり、その……あんなことまでしたくせに」
「あれはスキンシップだろ」
「ええ……」

 分かっていたことだけど、俺と勇星の「そういうこと」に対する価値観はやっぱりだいぶ違うらしい。俺としてはキスの時点でもうスキンシップを超えているのだけれど、そこは童貞の俺より単純に経験豊富な勇星に合わせるしかないのだろうか。

「スキンシップは気持ちイイことしかしねえけど、未経験でのセックスは痛みとリスクもあるからな。そこを強引に迫るつもりはねえ」
「男らしいんだか何なんだか分かんない」
「それくらい、音弥くんを大事に育てたいってこと」
「……まあ、そういうことなら……」

 確かに痛いのは嫌だし、男同士でのセックスがどんな感じになるのか想像もつかない。前に一度だけ見た勇星のアレが、俺の尻の中にいきなり入るとは到底思えないし。

「じゃあ俺がいいって言うまで、勇星は性欲を我慢するってこと?」
「……セックスはな」
「……スキンシップはするつもりなんだ」
「そのくらいは譲歩してくれんと、俺の身がもたねえ」
 言いながら、勇星が俺の肩を強く抱き寄せた。

「わっ、──ちょ、ちょっと待って。俺まだパフェ食ってる途中だから……そんなことしてたら溶けるって!」
「冷凍庫に入れれば復活するだろ」

 両脇に勇星の腕が入ってきて、そのままグッと体を持ち上げられる。まるで荷物を扱うかのように背後のソファへ放り投げられた俺は、複雑な思いで勇星を見つめた。

「そんな可愛くねえ顔しても、俺相手に勃つってのはもう予習済みだからな」
「うっ……るさい」
「最後に音弥に触って以来、一度も抜いてねえから。この俺が記録更新だぞ」

 海に入った後シャワーを浴びたから、多分汗臭くはないはずだ。エアコンも効いてるし、冷たい物も食べてたし。
「……んっ」
 だけどどんなに身体が冷やされていても、勇星の指先一つであっという間に熱くなってしまう。俺はソファの端にあったミニクッションを咄嗟に掴み、恥ずかしさで赤くなった顔を隠した。