買い物デート?と二回目の夜 -5-

「そういう音弥くんは、無宗教なのか?」
 逆に訊かれ、俺は肩を竦めて小さく頷いた。
「他の人より聖書に触れることは多いけど、やっぱ全部を信じ切れてないっていうか……あんまり信心深くないのは確か」
「まあそんなモンだろうよ」
「……でも、子供の頃から聖歌は大好きなんだ。ハイドンとかヘンデルとか、あとは……メンデルスゾーンとか、有名なのしか知らないけど。クリスマスの歌も好きだし」
「ふうん」

 興味なさげに相槌を打たれてしまったが、俺の頬は少しだけ赤みを帯びていた。今まで誰かに──見谷牧師にでさえ、それを打ち明けたことがなかったからだ。信仰心も音楽の知識もないくせに聖歌を素晴らしいと言うのは、何だかミーハーみたいで恥ずかしかった。

「ハイドンのオラトリオは俺も好きだ」
 勇星が紙ナフキンで指を拭いながら言った。
「宗教と違って、音楽は世界共通だからな。それを好きだと言えるのは別におかしなことじゃないと思うぜ」
「……う、うん」

 その後は五階の本屋に行き、動物が題材になっている絵本や児童書を数冊購入した。ぎりぎりまで迷ったが、見谷牧師に言われた通り一応は領収書をもらっておいた。

「毎日コンビニの弁当は味気ねえし、今日の夕飯は俺が作ってやろうか。寝床の世話になってるからな」
「勇星、料理できんの? そういえばレストランのウェイターやってたんだっけ」
「ああ、厨房じゃねえけど。パスタで良ければ家でもよく作ってたぞ」

 水着を選んでやって、サンダルを買ってもらって。
ファストフードで休憩して、本屋を覗いて、夕飯の材料を買って、半分ずつ持って。

「………」
 こんなことは思いたくないが、何だかカップルのデートみたいだ。

 緩いウェーブを描く焦げ茶色の髪、鳶色の瞳。見上げた勇星は確かに男前であることは認めよう。口は悪いけど子供達からは好かれているし、見谷牧師も勇星のことを我が子同然に可愛がっている。

 信仰が薄くても破天荒でも、勇星の性格には裏表がない。長所も短所も自ら見せ、その上で自由に生きている──きっとそれが、空島勇星という男なのだ。