第2話 リオ -5-

「あ、あの……僕、店から何も聞いてなくて……。お客さんが二人ってことも知らなくて……」
「大丈夫、別に俺ら怪しいモンじゃないからさ。リオくんにちょこっと聞きたいことがあって指名したのよ」
 リオを安心させるように、理人は笑いながら彼の隣に腰を下ろす。冷蔵庫から取り出しておいた烏龍茶を渡すと、それを受け取ったリオが首を傾げた。


「聞きたいこと?」
「俺は壮真理人。こっちは相棒の煌夜だ。俺ら二人でちょっとした相談屋みたいなことやってるんだけど、今日は仕事で来たってわけ」
「相談屋さん?」
「ああ、リオも悩みがあれば言ってくれ。お前なら無料で聞いちゃうかもしれねえよ!」
「わっ!」
「………」
 理人がリオに覆い被さるのをただ目の前の光景として見ながら、俺はポケットに忍ばせておいた一枚の写真を取り出した。
「この男、知ってるな」
「えっ……?」
 圧し掛かった理人の体を押しのけて、リオが俺の方へ手を伸ばす。すると、受け取った写真を一目見ただけでリオの顔が変化した。


「し、知ってます、僕のお客さんです。宮内健太郎さん……宮内建設の専務さんですよね」
 意外にも素直に認めたリオに、俺の眉がヒクリと動く。
「月に一度か二度、来てくれるんです。って、あ……お客さんのこと喋っちゃいけないんだ」
「大丈夫、外部には絶対洩らさねえから安心してくれ。場合によっては報酬も払うからよ」
「……な、何が聞きたいんです?」


 理人がソファを立ち、俺の隣に移動した。
「この宮内建設の坊ちゃんに婚約者がいるっていうのは知ってたか?」
「……知ってます。けど、そういうのって僕らには関係ないです。あくまでもこっちは仕事なんですから」
「別に説教しに来た訳じゃねえよ。そういう意味ならこっちも仕事だ、一般的な道徳は無しにして素直に答えてくれればいい」
 訝しがりながらも頷いたリオに理人が経緯を説明する。話を聞くうちに、たちまちリオの顔が青くなった。
「ぼ、僕にそんな大金を……? どうして、健太郎さんはそんなこと一言も……」