バトル オブ ライブ 王者奪還戦 -4-

 おめでとう。感動! 燃えに萌えた! お幸せにです。桃陽泣いてる!
 ――もうパソコンが壊れるんじゃないかと思うほど、そんなコメントが猛スピードで流れて行く。画面が見えないのは文字が速いからだけではなく、俺の目が潤んでいるからだ。
「さ、雀夜……」
「泣いてんじゃねえぞ、汚ねえな」
 その冷たい台詞すらとろける程に甘くて刺激的で、真っ赤になった顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃになる。


「雀夜、……嬉し、俺……どう言ったらいいか分かんないけど……」
「………」
 テーブルに頬杖をついた雀夜は俺のことなんて気にしていない様子で、パソコン画面を見ながらコメントに対する回答を自分勝手に喋っている。
「コイツの性感帯は動画見てりゃ分かるだろうな。齢の差は……五、六くらいか。犯罪じゃねえよ、うるせえ馬鹿野郎」
「ちょ、ちょ、暴言は駄目だってば雀夜」
「きっかけは特にねえな。コイツがうるせえから折れてやった」
「そんなことまで言わなくていいんだってば!」


 ライブ担当のスタッフも、松岡さんも珍しく笑っている。
 俺の知らないところでこんな衝撃企画が持ち上がっていたなんて、俺は何て幸せな奴んだろう……。


 殴られ犯され続けてきた少年時代。裏切られ続けてきた学生時代。それでも体と心は男しか好きになれなくて、何度も泣いて叫んできた。
 雀夜に出会って人生丸ごと救われた俺は、雀夜によって最大の愛を知った。人を愛することの喜びと、人から愛される幸せを教えてもらった。こんなちっぽけな俺を、雀夜は一人の男として愛してくれた──
 それが嬉しくて、涙が止まらない。

 *

「……いい加減にしろよお前。いつまで泣いてんだ、鬱陶しい」
 家に着いてからも俺の涙は止まらず、靴を脱ぐのにもたついていたらついに雀夜に言われてしまった。
「だ、だって俺、こんなに嬉しいの生まれて初めてで……。それに、見てた皆も……」
 雀夜のサプライズもそうだけど、それと同じくらいファンの人達に「祝福」してもらえたことが嬉しかった。絶対に叩かれると思ったし、雀夜のファンが怒ってアンチになってしまうんじゃないかとか、色々不安だったのに──あの時「おめでとう」で埋め尽くされたコメントを思い出すだけで、また涙腺が緩んでしまう。


「くだらねえ書き込みがあっても気にするな」
「……でも気になっちゃうし、雀夜の人気が落ちたら俺のせいで……」
「そんなモン見なくていい」
「でも、……」
「お前は俺だけを見ていろ」
「………」
 骨抜きのへろへろだ。俺は涙も拭わず玄関先で雀夜に抱き付き、濡れた頬をその胸に押し付けた。


「大好き。雀夜、大好き……!」
「知ってる」
 雀夜の両手が俺の尻を掴み、持ち上げる。久々に抱き上げられた俺は靴も履いたままで部屋の中へと運ばれ、大きくて柔らかなベッドへ押し倒された。
「抱いてくれるの」
「今ヤッとかなきゃ、寝た後でお前に襲われるだろうからな」
「……嬉し、……」
 塞がれた唇、絡む舌。雀夜の煙草の香りが俺の意識をとろけさせ、徐々に二人の息が上がって行く。俺は雀夜の頬を両手で包み込み、夢中でその香りを貪った。


「ん、……ん……」
 痛いほどに舌が触れ合い絡み合う。同時に雀夜が俺のベルトを外し、スニーカーを脱がせて床に放り投げ、ジーンズと下着を下ろして行く。俺は自分でシャツを脱ぎ捨ててから、再び雀夜を抱きしめ唇を合わせた。
 何度となくこうして抱き合ってきたのに、多分、今日が一番幸せ。本当の意味で雀夜と結ばれた今日この日を、俺は一生忘れないだろう。
「あっ……う、雀夜……」
 無言のまま胸元に落とされた雀夜の唇が、愛撫を待ちわびていた乳首に被せられる。熱くてぴりぴりとした刺激が走り、俺は両手でシーツを握りしめながら身をくねらせ、喘いだ。
「は、ぁ……気持ちいい、乳首……あんっ……」
「既に勃ってんじゃねえかよ」
「もっとして、雀夜……。めちゃくちゃにして……」


 いっそのこと意識が飛ぶまで、この先絶対に雀夜以外の男に抱かれたいなんて思えなくなるほどに、俺の体から細胞の隅々までが雀夜の物になるように抱き潰して欲しい。
 ──俺の全部は、雀夜だけの物なんだ。