バトル オブ ライブ 王者奪還戦

 まさか雀夜とゲームセンターなんかに来る日が来ようとは。
「雀夜、下手すぎ。スコア最下位じゃん!」
「初めてにしてはお前といい勝負だろ」
 ゾンビを倒して行く大型シューティングゲームの前で、俺は文句を言いつつも玩具のショットガンを構える雀夜に胸を高鳴らせていた。結局コンティニューする気も起きないくらいの序盤でゲームオーバーになってしまったけれど。
 車の運転は上手いのにレースゲームは下手だったり、格ゲー対決で初心者の俺にぼろ負けだったりと、本当に雀夜はゲームが苦手らしい。俺もこういう遊びはあんまりしたことないけれど、売り専時代に客とのデートで何度か連れて行ってもらったりしたことはあるから、何となくだけどゲームについては理解している。これ以上やったら機嫌が悪くなるのではとヒヤヒヤしていたが、意外にも雀夜は下手なりに楽しんでいるようだ。


「雀夜、大丈夫? 音でかいから耳痛くならない?」
「平気だ。お前は疲れてねえか」
「大丈夫だけど……」
「遅くなっちまったな。そろそろ出るか」
「う、うん」
 気付けばもう8時だ。夕飯の時間もとっくに過ぎている。
 今日の雀夜は優しいから、夜もちょっとだけ、……期待していいだろうか。

 と、思ってはいたけれど。
「さ、雀夜。何やってんの……?」
「心配すんな、ただの撮影だ」
「何でっ?」
 スマホのカメラがこちらを向くようカーナビ横に固定されたのを確かめてから、雀夜が俺の体を後部座席に放り込んだ。無駄にデカくて広い車のシートに顔面から突っ込み、俺は鼻を押さえながら雀夜を振り替える。


「てめえ、何すんだっ!」
「怒るなよ桃陽。優しくしてやるからよ」
「言ってることとやってることが、……!」
 自らも後部座席に乗り込んできた雀夜が俺の横に腰を下ろし、自分のベルトを緩めて言った。
「咥えてえか」
「……何で撮ってんの? 嫌なんだけど、あれ」
「後で個人的に使いてえんだ」
「オカズ用?」
「まあな」
 仕方なく分かったフリをして、雀夜の股間に顔を埋める。


 スマホ一台で生配信が出来る時代だ。まさか今の俺達の姿も、ライブで全世界に筒抜けなんじゃ……
 ──そ、そんな訳ないよな。
 最近ライブのことばかり考えてたからか、どうもそっちに頭が行ってしまう。