告白 -4-

「んっ、う……。ん、ぁ……」
 絡み合う舌は涙の味がする。
「ひっ、う……。うっく……さく、やぁ……」
 唇が離れた後も、俺はずっと俯いて泣き続けた。こんな顔を至近距離で見られたくない。涙だけならいいけど鼻もグズグズしてきて、息ができないから更に顔が歪んでしまう。涎も垂れてるし、雀夜に扱かれてるそれもとっくに限界だ。
「お前、汚ねぇな……」
 雀夜が呆れた顔で俺から顔を引いた。
「だ、だってだって……。雀夜、ぁっ……」
「さっさとイけよ。そんで鼻、拭け」


 雀夜の手の動きが速まる。もともと我慢に我慢を重ねていた俺は当然これ以上の快楽に耐えられる筈もなく、雀夜にしがみついたまま最高の形で絶頂を迎えた。
「う、あっ……あぁぁっ!」
「俺も……」
 俺の体を強く抱きしめながら、雀夜もまた中で果てる。
「ふ、あ……。う、嬉し、ぃ……雀夜の精子、入ってくる……妊娠する」
「気色悪いこと言ってんじゃねえよ、アホかお前……」
 軽蔑の眼差しで俺を見つつ、雀夜はフゥと大きく息をついて俺を解放し、仰向けになった俺の隣に体を投げ出した。


「疲れた……」
 俺はティッシュで鼻をかみ、涙を拭いて、俺と雀夜の体液を拭き取ってから、ぴったりと雀夜の横にくっついて寝そべった。
「……何笑ってんだよ」
「雀夜に好きって言ってもらえたから」
「別に好きじゃねえ、俺の物になれって言っただけだ」
「うー。……ま、別にいいけどさぁ。嬉しかったし」
 天井をじっと見つめる雀夜の横顔は、凛々しくて、カッコ良くて、少しだけ赤くなっているみたいだった。


「なぁ遊隆に殴られた理由、そろそろ教えてよ」
 俺がせっつくと、雀夜の横顔が若干険しくなった。だけどもう怖くない。雀夜のこれは、照れてる顔だ。
「誰にも言わないからさ」
「……撮影の途中に、遊隆の首、絞めるフリしたんだ」
「はっ? なんで?」
「もともと今回はそういう内容だったんだ。拘束具とか使ってたしよ、コアな客層向けの動画だったからな。遊隆がビビってたから、からかってやろうと思ったら……逆にぶっ飛ばされた」
「……アホらし。せっかく撮ったのに、お蔵入りじゃん。遊隆も可哀相」
「そんな訳で、遊隆とはコンビ解消だ。明日からお前が俺の相手すんだぞ」
「え……。……えぇっ?」
 思わず俺は飛び起き、雀夜の体を揺さぶった。


「なんで! 俺が? 雀夜と、組むのっ?」
 信じられない。信じられる訳がない。なんなら仕事で雀夜とセックスするなんてずっと無理だと、覚悟していたほどなのに。
「……もしかして、雀夜……。俺と組むために、わざと遊隆に……」
「そんな訳ねえだろ、調子乗んな」
「そ、そうだよね、知ってたけど……」
 それでも嬉しくて、俺はいそいそと雀夜の腕を持ち上げ、逞しい上腕に頭を乗せて寝転がった。
「やばいよ、ドキドキして仕方ない。なぁなぁ雀夜、俺、嬉しすぎて本番チビりそう」
「犬みてえだな」
 含み笑いする俺を尻目に、雀夜が仕事の顔で言った。


「幸城もすげえ期待してるからな。俺の相手すんなら、手抜きは一切許さねえぞ」
「分かってるよ。俺、雀夜の期待にもちゃんと応えるから。雀夜が想像もしてないような俺を、いっぱい見せてやるからな……」
「それから今後一切、無断欠勤は許さねえ。遅刻もするなよ」
「が、頑張る……」
 安心したのと、性欲が満たされたのと、幸せな気分とで、いい感じに眠気が襲ってきて、俺は雀夜の胸に手を置いて目を閉じた。


「……大好き、雀夜……超好き」
「聞き飽きた」
「……クリスマス、一緒にいようよ」
「どのみち仕事が入るかもな」
「その後も……、ずっと一緒にいたい……」
「………」
「一緒に街歩いたり、ご飯食べたい……。そんで、その後は……」
「結局セックスだろ。特別に、ホテルの最上階か」
「いいね……連れてって……」
 雀夜の腕が、俺の体を優しく包み込む。
「連れてくさ。どこでもな──」