告白

「お、俺……」
 雀夜のペニスが熱い。俺の冷えきった手のひらが、どんどん溶かされてゆくみたいだ。
 それだけじゃない。氷みたいに冷えて硬くなっていた、俺の心も……。


「……俺、昔お父さんに酷いことされたし、同級生や先輩にとっても都合のいい存在だった……。クリスマスとか夏休みとか、大きなイベントの時に呼ばれて、マワされたこともいっぱいあった……。売り専の時も、女の格好させられて女言葉で喋らされることもあったんだ……」
 今まで殆ど忘れかけていたはずの過去の記憶が、涙と一緒に次々溢れてくる。


「洋次とヤッたから雄大にボコられて、木村先輩とヤッたから二年の全員から無視されて、教師とヤッたら大学受験組の全員からトイレで犯されまくって……それから」
「もう言わなくていい……」
「そんなんでも、俺……嫌だって一度も言わなかった。言えなかったんだ……。どんなに殴られても、ひどいことされても、さっきだってお父さんに何言われても、怖くて、怖くて……嫌だって、言えなくて……」
「お前、さっきあの男に言えただろ? 怖くて仕方ねえけど、泣きそうな面してたけど、ちゃんと嫌だって言えてたじゃねえか」
 雀夜の目が寂しそうに揺らいだのは、俺の錯覚だろうか。


「でも俺、俺っ……」
「桃陽」
 静かに、雀夜の唇が額に押し付けられる。
「今は俺がついてる。だからもう、何も怖がる必要はねえ……誰の前でも、本来のお前でいろ」
「う、あ……」
 体ごと俺に覆い被さってきた雀夜を、俺は全力で抱きしめた。両手両足でしがみつき、一ミリの隙間もできないように。
「……痛てぇよ」
「痛くてもいい。痛くして、雀夜……」
「………」
 唇を塞がれ、舌が絡み合う。何度も、激しく、蕩けてしまいそうなほど。


「……んっ」
 雀夜の手がシャツの中に入ってきた。熱く尖った俺の乳首に、雀夜の指先が優しく触れる。
「あっ、あ……あっ!」
「相変わらず乳首が弱いんだな」
「雀夜だから……気持ちいいんだよ……」
 俺は雀夜の首にしがみつき、彼の耳元で喘ぐように言った。
「もう絶対に俺、雀夜以外の男とはセックスしない。態度で表すって、そういうことだろ……? ずっとずっと、雀夜だけ好きでいる」
 雀夜がからかうように、俺の耳元で囁き返す。
「へえ。じゃあ仕事も辞めるのか」
「仕事は仕事だから、それは別……。頑張って良い作品作って、雀夜に嫉妬させてやるんだ」
「そりゃあ、たいそうな計画だな」
「……確かに!」
 思わず自分で笑ってしまった。だけど俺は本気だ。今度こそ松岡さんを、事務所の皆を、雀夜を……自分を裏切らない。


「ま、取り敢えず一日ずれたけどよ。昨日の約束は守ってやる」
「約束……? もしかして朝まで一緒にいてくれる、ってやつ?」
 雀夜が俺の着ているシャツを脱がせながら頷いた。
「でも、雀夜仕事は? 戻らなくていいの?」
「戻っていいのか?」
「………」
 言葉を詰まらせた俺に、雀夜が不敵に笑う。
「コレが終わったらお前も一緒に来い。仕事の後は、またここに戻って来ればいい……」
「でも、……あっ!」
「口応えすんな」
 嬉しくて体が震えだす。


 今更だけど、雀夜の部屋……広いのに片付いてて綺麗だ。家賃も高そう。俺が自分の汚い部屋でヘコんだり朝起きるのを嫌がったりしてた時でも、雀夜はこの部屋でストイックな生活をしていたんだろう。雀夜の買った家具、雀夜の選んだカーテンの色、雀夜の生活の匂い……。その全てがいとおしい。


「あっ……ん!」
 油断していたら不意に乳首を啄まれ、俺の体がビクリと跳ねた。
「ん、……ん、気持ち、いっ……」
 柔らかな枕に頬を押し付け、背中を浮かせて更に刺激を求めると、雀夜は俺の要望通りに、左右の乳首を口と指で愛撫してくれた。
「やっ。そんな、に……したら、勃っちゃうし……あっ」
「もう勃ってんだろ」
「ふあ、ぁっ……ん」
 抓られ、吸われる度に緩やかな電流が体に流されるみたいだ。この快感を、ずっと待っていた。
「ガチガチじゃねえかよ、桃陽」
「あ、う……。さ、雀夜は……?」
「ん」
 雀夜はさっき俺が半分脱がしていたジーンズを足で蹴るようにして脱ぎ、露出したその部分を俺の股間に押し当てた。