それから -2-

 俺だって馬鹿じゃないから、素人の分際で偉音と同等のことが出来るなんて思わない。やっぱりあの時のように人前で痴態を晒すのは恥ずかしいし、仕事もある訳だからあんまり大っぴらに活動は出来ないことも分かってる。

「宇咲」
 だけど、偉音の命令なら。
「俺と来い」
「……うん」
 偉音の言うことなら、何だって聞けるから。
 差し出された偉音の手を優しく握り、そっと自分の口元へと導く。甲にキスをして俺なりの忠誠を示すと、偉音が柔らかく笑って抱きしめてくれた。
 その熱い温もりに思わず頬が弛み、口から吐息が漏れてしまう。

 ベッドに身を倒した俺達は、欲望に任せ互いの唇と舌とを愛撫し合い、本能のまま互いの体に触れ合った。
「んっ、──」
 偉音のシャツに手を入れ背中を強く撫でる。舌を絡ませたまま偉音の手で服を脱がされた俺は、筋肉質な彼の体の下で極力その目を見つめていた。
「は、……ぁ……」
 いつもの鋭い視線を俺に向けながら、偉音が何度も胸元にキスを繰り返す。時折強く肌を吸われ、痛いほど歯を立てられ──だけど今の俺にはそれすらも心地好く、声と同時に甘い涙が頬を伝った。
「宇咲、……」
 切なげな声で呼ばれて、更に涙が溢れてしまう。
 俺は偉音の頭を抱きしめながら、吐息と共に囁いた。
「好きだよ、偉音……」
 その言葉に偉音が不敵に笑い、自身の盛り上がったその部分を俺の股間に押し付けながら言った。
「俺に惚れられる要素なんて、本当はねえけどな」
「そ、そんなこと……。だって俺、初めから……クラブで籠の中に偉音がいるの、見た時から……」

 何だか凄く昔のことに感じる。
 あの夜──鉄の檻で絡み合っていた偉音とネオンは、俺にとって天上の存在だった。偉音は一瞬で俺の心を奪ったのだ。
 その偉音と今こうしていられるなんて、運命の不思議を思わずにいられなかった。「いっ、……あ、あっ、やめ……」
「……悪い、宇咲。一回出していいか」
「え、あ……いいけどっ、……」
 剥き出しになったその部分同士が激しく擦れ合い、同時に偉音の呼吸が荒くなる。俺の知る限り、こんなに余裕のない偉音は初めてだ。相手が俺だからだろうか。──そう信じたい。
「っ……!」
「あ……」
 程なくして俺の腹に出されたそれをぼんやり見つめていると、偉音が柄にもなく恥ずかしそうに笑って言った。
「やべえな、全然もたねえ。ガキみてえだ」
「……偉音、割と時間かかる方だったのにね」
「お前のせいだな」
 恐らく照れ隠しなのだろう、少しむくれたように呟いて、偉音が俺の腹に付着した体液を手で拭う。
「わっ」
 そして突然、屹立したままの俺のそれが強く握られた。