変化 -6-

 その夜は結局ファミレスで、しかも俺が一番よく食べた。パフェをゆっくり食べるネオンと焼肉定食にがっつく偉音の前で、俺は野菜カレーとコロッケサンドを二つ、それから冷やしパスタとミニサイズのネギトロイクラ丼、そして偉音が注文した唐揚げも五個あるうち三個を食ってやった。

 当て付けのように次々かき込んで行く俺を見て、偉音の隣に座ったネオンがニコニコ笑っている。
「ウサちゃん、美味そうに食うよね」
「そのウサちゃんていうの、止めて下さい」
「えー、まだ怒ってるの?」
「あんだけ善がってたくせによ」
「………」
 謝罪どころかまるで俺に非があるような言い方をされ、俺は唐揚げを頬張った顔を上げて二人を見た。
「マジであんた達、こんなことばっかしてたら訴えられて捕まるからな」
「その場合って何の罪になるんだろ? 暴行強姦じゃないし、詐欺でもないし……ウサちゃんが泣いて抵抗してたらまた違ったかもだけど」
 それは暗に合意の上でのあの結果だったということか。


「お、俺はやめろって言いましたよ。何度も嫌だって言ったはずです!」
「でもさあ、それ以上に気持ち良さそうだったよね。だって偉音のアレ握りながら欲しい欲しいっておねだりして──」
「ネオンさんっ!」
 深夜のファミレス、しかも喫煙席は人が少ない。だけどそれでもゼロではない訳で、俺は慌てて片手を伸ばしネオンの発言を遮った。
「ハメて欲しいならいつでも相手するぞ。結局指一本挿れてねえし疼いてんだろ」
「偉音っ!」
 もう片方の手を突き出した俺の顔は真っ赤になっていたと思う。

 駄目だ。この二人といると、完全にこいつらのペースに巻き込まれる。ここで断ち切らないと。これきりで終わりにしないと。

「とにかくもう、これ以上は関わりたくありません。今回のことは忘れるんで、あんた達も俺のことは忘れて下さい」
「だって今日のギャラ払うのにまた会わなきゃだよ?」
「……その時だけ会います。一分くらいなら」
「宇咲」
 テーブルの下で、突然偉音のブーツのつま先が俺の膝をつついてきた。
「な、何だよ」
 膝と膝の間を割るようにして、偉音の足が入ってくる。
「ちょ、何っ? 何すんだお前──」
「オープン」
「っ……!」
 あの低い声、そして鋭い視線。
 インカムなんて無くても、直接偉音の声が俺の鼓膜を震わせる。
「………」
 怖々膝を開くと、偉音の口元がふっと緩んだ。


「このエロガキ」
「あっ……!」
 ブーツの先で股間を押され、そのままぐりぐりと押し付けられる。さっきまでの余韻が残っていたせいか、俺のそれはすぐに反応してしまった。
「パブロフのウサちゃんだね」
 テーブルに肘をついて笑うネオン。
「んっ、……ふ、……」
 俺は身を伏せて顔を隠し、唇を噛んで声を殺した。

 自分でも信じられなかった。

 まさかここまで偉音に躾けられていたなんて。