囚われの操りドール -6-

「んっ、──」
 突然のことに体が強張り、息が出来なくなる。塞がれた唇の間で偉音の舌が探るように蠢き、無理矢理に口を開かされた。
「ん、や、……いぉ、……わっ?」
 偉音に気を取られていたら急に両脚が持ち上げられた。横に立っていたネオンが俺の膝を開かせ、それぞれ左右の肘掛に固定する。──こんなの知らない。一言だって聞いてない。

「んんっ、……ん!」
 脚を元に戻そうとして力を入れるも、ネオンの手は微塵も動かない。その間も口の中は偉音の舌に蹂躙されている。予想外の展開に対する混乱よりも怒りよりも、何より恥ずかしかった。
 こんなに短いパンツで股を開き口を吸われる俺の姿を、百人近い人間が見ているのだ。
 稲妻のライトがフロアを駆けずり回り、その度に暗い観客席からこちらを見ている男達の表情がちらちらと浮かぶ。数々の視線は間違いなく俺に向けられていた。体が熱い──恥ずかしい!

 ネオンが屈んで俺の左脚を持ち上げ、膝にキスをした。それから俺が履いているロングブーツのリングに金属のフックを取り付け、右側にも同じ物を付けた。ただの飾りだと思っていたリングだがとんでもない──両脚に取り付けられたフックは一本の細いベルトで繋がれている。

「っ……!」
「オープン」
 唇を離した偉音が俺に囁いた。
「わっ、……やだっ、や……!」
 ネオンがベルトをぐっと持ち上げ、俺の首の後ろに回した。シマさんの店で見た拘束具と同じ原理だ。俺の両脚はもう二度と閉じることが出来ない。
「い、偉音、……!」
 背後に立つ偉音の腕を震える手で掴み、涙声で小さく訴える。
「む、無理……無理だよこんなの、俺……」
「見られて感じるか」
「そんなわけあるかっ、……!」
「ふぅん……?」
 後ろから伸びてきた偉音の右手が、開いた俺の股間に触れた。「ひっ……」薄いレザー越しに形をなぞるようにして偉音の指が這う……極度の緊張と恥ずかしさで、俺のそれは信じられないほど敏感になっていた。
「んゃっ、やめ……ろ、……」
「ウサちゃん、なるべく早く勃てられる?」
「な、なに言ってんだよ、ぉ……!」
 インカムを通してネオンが俺に言った。傍目には俺の足元に跪き、内腿を愛撫しているようにしか見えない。
「甘勃ちでもいいよ。ウサちゃんの可愛いとこ見てみたいな」
「やだっ、や……!」
「そういえば、お前の弱点はここだったな?」
 今度は偉音の声がした。
「上からでも勃ってるのが分かるぞ。……宇咲、そんなに乳首弄って欲しいか」
「や、やだやだっ、そんな、無理だって……!」
 俺の声だってインカムから二人に聞こえているはずだ。それなのに二人は俺を無視して一切手を止めてくれない。

 どうして。
 俺、騙されてたのか。信用してたのに。頑張ろうと思ってたのに。
 二人のために足を引っ張らないようにって、絶対ステージを成功させなきゃって、思ってたのに……
「うあっ、……!」
 胸元のレザーを下ろされ、偉音の両手が俺の胸に滑り落ちてきた。