囚われの操りドール -5-

 緊張で胸が張り裂けそうだ。剥き出しの腹も冷えてるし、足も震えてしまう。

 俺は自分で肩を抱きしめながら今は下がっている盆の上に立ち、こうなったら早く終わりますようにとひたすら祈り続けた。
 見学した時と違って盆の上から見上げた会場は暗く、赤や青、緑のフラッシュライトがあちこちで点滅し、その上から稲妻に似たライン状の閃光が走っていた。
 誰のものか分からない声が偉音とネオンの登場を英語で煽り、フロアに歓声と拍手が巻き起こる。
 その歓声の中、ネオンに肩を叩かれた。盆に設置してあった椅子に座らされ、偉音からとにかく堂々としてろと言われ、両頬を叩いて無理矢理に気合いを入れる。
 金色の玉座みたいな椅子は座り心地が良く、肘掛もしっかりしていた。俺は終始ここに座っていればいいのだ。衣装は恥ずかしいけど、何とかやり切れる。

「上げます!」
 スタッフが壁のパネルを操作して、盆がせり上がり始める。偉音とネオンは俺を挟むようにして立っていた。盗み見た二人の表情は眼光鋭く、恐らくもうステージのことしか考えていないのだろう。
 偉音達の姿がステージに現れるにつれ、観客のボルテージも上がって行く。相当人気なのかと思ったけれど、玉座に座った俺がステージ上に出た瞬間、より一層フロアが沸いた。
 心臓がバクバクだ。フロアが暗くてここからは客の顔が見えないけれど、充満している熱気で相当の人数がいるのが伝わってくる。

 ドッ、──と心臓に重低音が響いた。白いフラッシュライトが俺達三人に向けられ、大音量のクラシックロックがフロア中に流れ出す。空間に舞う埃がきらきらと輝いて見えた。
 偉音とネオンが曲に合わせて動き始めた──俺を挟んで二人が向き合い、ネオンが玉座の肘掛に片膝を乗せる。
 ……やっぱり、綺麗だよなあ。
 ホテルで俺が衣装(変更前)を着てみせた時、そのままソファを使って簡単な流れを説明してもらったのを思い出す。

 身を乗り出したネオンが背中をしなやかに反らせて天を仰ぎ、その白い喉に偉音が口付け、喉から顎へと舌を這わせる。それだけでもかなりエロチックな光景なのに、更にネオンが偉音の髪を緩く掴んで唇同士を触れ合わせる──はずだった。

「……んっ?」
 ネオンの手が、偉音ではなく俺の頭に乗せられる。一瞬ビクついてしまったけれど、何とか表情だけは崩さずに済んだ。ちょっとしたアドリブや変更が入るというのは事前に聞いている。だから今この瞬間ネオンの手が俺の頭に乗っているのも、偉音が玉座の背後に回って俺の肩をがっしりと押さえたのも……きっと、二人のアドリブなんだろう。恐らくは。

 肩にあった偉音の手が俺の頬に移動し、横を向くよう促された。そして……
「質問は後だ。思い切り乱れろよ」
 インカムに偉音の低い声が飛んできたと思った瞬間、強く唇を塞がれた。