偉音との再会、ネオンとは初対面 -6-

 それから二十分ほど経ち、店から偉音とシマさんが出てきた。
「そんじゃ、次の仕事も頑張れよ。また近いうち飲みに行こうぜ」
「どうもです、シマさん」
 俺も小さく頭を下げたが、内心では偉音が持つ紙袋の中身が気になって仕方なかった。
 一体何を買ったのか。俺はどんな恰好をさせられるのか。考えれば考えるほどドキドキして、必要以上に汗をかいてしまう。

「それじゃ、お茶して飯食って帰ろうか」
 上機嫌のネオンに続いて歩きながら、俺はそっと偉音に訊ねた。
「変なのじゃないよね? ちゃんとした服だよね?」
 多分、俺の言い方が悪かったんだ。偉音が少しムッとした顔になって俺の頭に手を乗せ、軽く叩いてきた。
「お前、クラブでネオンを見て変だと思ったか?」
「え、……」

 言われて、思い出してみる。
 あの日、確かネオンが着ていた衣装はかなり露出の高いボンテージだった。太腿も腹も腕も剥き出しで、だけどそれがすごく似合っていて、綺麗だしカッコいいと思ったのは確かだ。

「へ、変じゃなかった。でもそれはネオンさんだから……」
「そういう『無価値感』は捨てた方がいいぞ。お前は自分が思ってるよりいい男だ」
「……偉音に言われると、何かなぁ」
「なになに、何の話?」
 こちらを振り返ったネオンが、俺と偉音の間に割って入り腕を組んでくる。
「うるせえボケ、べたべたすんなアホ」
「ムカつく!」
 むくれるネオンと、それを可笑しそうに笑う偉音。二人の間には三年分の絆があると思えるようなやり取りを見て、何となく嬉しくなった。当然だけど、知り合わなければ見られなかった二人の姿だ。ちょっとだけ得した気分になる。

 ネオンに腕を組まれたまま歩く途中で、偉音が思い付いたように言った。
「お前の中の『変』がどれくらいのを指してるか知らねえけど、そんなに気になるなら一度着てみるか」
「えっ?」
「どっちにしろ、本番までに合わせとかねえとだしな。お前水曜しか休みじゃねえから、今日できるなら早めの方がいいだろ」
「いいね、俺も見たい! そうしようよ、宇咲くん」
「……まあ確かに、その方がいいかも。着るかどうかは別にしても、俺も見ておきたいし」
 ふ、と偉音が笑った──気がした。
「そんじゃUターンだ。車戻るぞ」