おさそい -2-

 午前二時半、都内某ホテル。

 思った通り──いや、思った以上に偉音とのセックスは素晴らしかった。
 今まで俺が経験してきたものなんてまるで子供の遊びだ。百戦錬磨の蓮司とのセックスでも、ここまで痺れるような快楽を得たことなんてなかった。

「あ、──あぁっ、偉音、さん……」
「持ち上げるぞ。上に乗れ」

 何より偉音は抜かずに体位を変えるのが上手かった。流れるように正常位から座位で突き上げられ、それから俺の体を横に倒し、そのままバックに移行して散々突かれ、今度は後ろから抱っこされるように持ち上げられて再び下から突き上げられた。

「ん、あっ、……すげっ、やばい……! 偉音さん、っ……激し、っ……」

 俺はされるがままだった。無理なく、体に負担もかからず、実にスムーズに幾つかの体位で突いてもらってから、最後はまた正常位でイかされた。

 俺の中で腰を振る偉音も男前で綺麗だった。がっしりと俺の腰を押さえる大きな手も、蕩けるような視線も、吐息も。
 それは久し振りに、心から充実したと言えるセックスだった。

「はあぁ……やば、俺……腰がもう、まだ震えて……」
 計っていた訳じゃないけれど、一時間近くは休まず合体していたかもしれない。それでもヘロヘロの俺と違って流石に鍛えているからか、偉音は涼しげな顔で煙草を吸っている。

「偉音さん、やっぱ上手いね。でもさぁ……」
 朦朧としながらも俺は気になっていた──偉音は射精していない。

「偉音さんて、遅漏なの?」
「………」
「あ、違くて……だって、さっきもフェラした時イかなかったし……」

 俺は今夜だけで偉音に四回はイかされたというのに。勃つということはEDではないし、単純に射精しにくい体質なんだろうか。
 黙ってその顔を見ていると、偉音が煙草を咥えたまま俺を手招きした。

「なに……?」
 あぐらをかいた偉音の股間では、さっきまで俺の中に入っていたそれがまだ芯を持ってこちらを見上げている。
「クラブで教えたようにしゃぶってみろ」
「………」

 そんなことしたら、また高ぶってしまうかもしれない。
 だけど俺は震える腕で体を支え、言われた通り偉音の股間に顔を埋めた。

「ん、ん……ぅ」
 丹念に舌を這わせて唾液を垂らし、出来るだけ根元まで咥えこみ音をたてて愛撫する。

「宇咲」
 名前を呼ばれて上目に偉音を見ると、どこか真剣な眼差しをしていた偉音の表情がふっと柔らかくなった。
「ディープ」
 囁きながら、偉音の手が俺の頭をゆっくりと押す。より深く咥えさせられ、苦しさと喉への異物感からほんの少し涙目になってしまう。

「ふ、……」
 だけど涙目になった甲斐あって、ようやく偉音が心地良さそうな声を出してくれた。嬉しかった──こんな俺の拙い口淫が偉音みたいな男に通じるとは。

「出すぞ、宇咲」
「ん、うん……」
 一層強く頭を押さえ付けられ、俺も射精を手伝うように尖らせた舌先で激しくそれを愛撫する。
「っ、は……」

 程なくして口の中いっぱいに熱いものが溢れ出した。まだドクドクと脈打つ偉音のそれから搾るように、何度も唇をすぼめて舌を擦り付ける。

 顎を軽く揺すられて口からそれを抜くと、偉音が満足げに、だけど不敵に笑いながら俺を見下ろして言った。
「スワロー」
「ん、……?」