第5話 少年たち -9-

 こうして幼い春和歌の貞操は守られ、何事もなかったかのように寿輪楼はいつもの賑わいへと戻って行く。

 部屋に戻るなり、天凱さんが俺の腰を絡め取り唇を近付けてきた。
「さて、まだまだ朝まで時間はあるからな。仕切り直しで楽しもうじゃねえか、彰星」
「……ん」
「どうした?」
 今回春和歌が助かったのは良かったけれど、今後も彼のような幼い被害者が出ないとも限らない。大人の欲望が渦巻くこの場所で彼らのような子供が生きて行くというのは、想像以上に残酷な話なのだ。

 普通の商店に奉公に行く子。親に守られ子供らしく生きる子。
 そして遊廓に売られる子。
 彼らに行き先は選べない。彼らの将来は全て、大人の手で決められてしまう。

「天凱さん、……」
 俺だって一歩間違えれば、今頃息をするのも辛い境遇にいたかもしれないのに。
「お、……おい、おいおい。……何でいきなり泣くんだよっ、彰星っ?」
 そんな中でこうして出会えた奇跡。
 頬を伝うのは拭わなくても良い種類の、熱い涙だ。
「……嬉しいからです!」
「彰星っ」

 男の人を好きになる気持ちが、こんなに温かいものだなんて知らなかったよ。

「朝まで離さねえからな、彰星」
「天凱さん……俺も」
 近付く唇は愛情の証。俺は、天凱さん以外の人には唇は許さないと心に決めている。
「──ん」
「彰星さん、オイルをお足しします」
「ぎゃっ、……あ、淡雪ぃっ──!」

 第5話・終