第5話 少年たち -7-

 天凱さんの手は魔法のようだ。触られればどこもかしこもすぐに熱くなり、胸を撫でられれば心臓の音をも操られてしまう。
「あ、あ……」
「港で初めて会った時よりは肉が付いたな。いいぞ彰星、ちゃんと食えてる証拠だ」
「て、天凱さんが、……付いてくれたお陰です。……食べたことないもの、たくさん……」
「菓子ばっか食ってたらすぐに肥えちまうからな。たまにはちゃんとした飯でも食いに行こう」

 やっぱり他のお客さんに触られるのとは全然違う。巧いお客さんも中にはいるけれど、天凱さんの愛撫は体だけではなく心までもが気持ち良くなるのだ。
「彰星」
 低い声で名前を呼ばれれば鼓膜から頭の中を愛撫され、布団についた後頭部や背中からゆっくりと溶けてしまいそうになる。

「あぁっ……!」
 内股から陰茎の付け根を揉まれれば、腰より下に火花が走る。目の前が桃色になって、この人になら命さえ預けても良いという気持ちになる。

「天凱さん、っ……天凱さん……!」
 愛撫に応えるように名前を呼べば、天凱さんもまた男の部分を熱くさせてくれる。そこが触れ合うと少し恥ずかしくなるけれど、彼が教えてくれた快楽を他でもない彼自身から与えてもられると思うと堪らなく嬉しかった。

「乳首とペニスを同時にされると、彰星はすぐへろへろになるなぁ」
「ぺに……」
「ここのことだ、男が皆持ってるモン」
「あっ──!」
 握られると腰が跳ねる。先端を意地悪くくすぐられれば、体の芯が震える。涙すら滲む。
「尻よりもまだコッチの方が感じるだろ。このまま射精するか?」
「いいえ、天凱さん……俺のここ、使って……お願い……」

 この先他の客にも何度だって使われるのだ。それなら天凱さんに一回でも多く、俺の尻で気持ち良くなってもらいたい。

「悪い台詞を覚えたモンだな。優しくしてやれなくなるじゃねえか」
 言いながらも嬉しそうに笑って、天凱さんが自身の屹立を俺のそこに突き立てた──
「──彰星さんっ!」
「わあぁっ!」
 何の前触れもなく襖が開かれ、息を切らした淡雪が膝も付かずに現れる。慌てて上体を起こした俺の上で、天凱さんが「ちぇ」と子供みたいに唇を尖らせた。

「淡雪。もしかしてまた春和歌が……?」
「い、言われた通り、先に雷童兄さんにお報せしました。そしたら兄さんが、……雷童兄さんがっ!」

 何やら尋常でない様子の淡雪に、俺もすぐに夜着を羽織って部屋を出た。後から天凱さんも付いて来ていたが、その顔はニヤニヤと笑っている。
「こりゃ相当面白れぇモン見れるかなぁ。くく」
「な、何なんですか、面白いモンって?」
「まあ、いいからいいから」

 よく分からないがとにかく三人で廊下を走り、茶屋の主人と春和歌がいる部屋を目指した。二階の東側一番奥──開け放たれた襖の周りには、野次馬らしき他の男遊やお付き、それにお客さんも集まっている。

「ご、ごめんなさい……通して……!」
 兄さん達をかきわけて部屋に入った瞬間──まず初めに雷童さんの背中が目に飛び込んできた。せともの屋の旦那と「していた」真っ最中だったのだろう。完全に脱げた上半身のキモノが、帯に締められ腰からだらりと垂れている。