第4話 運命の夜 -4-

「んっ、……」
「怖いことはしねえが、この先俺の知らん男にお前の処女を譲る気もねえ。今夜が無理なら明日また一本でお前を揚げる。お前の旦那にならせてくれ、彰星。お前を世話したい」
「ほ、……ほんとに……」
 殴られたところに、天凱さんが何度も唇を押し付ける。手当をしているみたいに優しく、何度も、何度も。

「本当に良いんですか、俺なんかで……」
「ああ、お前がいい。損はさせねえよ、彰星」
 どうしてだろう。さっきはあんなに男が怖かったのに、天凱さんだと全然怖くない。気付けば体の震えは止まり、布団に寝転がった俺は自分から彼の体に抱き付いていた。

「あ、ったかい……」
「ゆっくり触るぞ」
「……はい」
 薄い夜着の前を開かれ、胸板に天凱さんが手のひらを滑らせる。
「あっ……、でも俺、さっきのお客さんに……」
「構わねえさ。俺が厄を落としてやる」
「っ……」
 散々嬲られた乳首に彼の指が触れた一瞬、俺の体がビクリと波打った。二の腕に鳥肌が立っているのは、恐怖や嫌悪のためじゃない。
「あ、あ……」
 気持ち良いんだ、今の俺は多分。

「ごめんなさい、声……変なふうに、出て……」
「変じゃねえよ。今の俺が一番聞きてえ声だ、我慢すんな」
「で、でも……あぁっ……!」
「男ってのは単純だからよ。触れた相手が気持ち良さそうな声を出せば、それだけで気分が良くなっちまうんだ。彰星は乳首も弱いんだな。もう硬くなってるぞ」
 恥ずかしくて、でも気持ち良くて、……どうしたら良いか分からない。

「あっ、ん。んん……天凱さん、っ……」
「良い声だ。素直に感じてるその顔も良い。──何だ、良い所だらけじゃんか、お前」
「あぁっ!」
 飴玉を口の中で味わう時のように、天凱さんが含んだ俺の乳首を舌で転がした。むず痒いようなくすぐったいような感覚が全身を駆け抜け、それと同時に泣けるほどの切なさがこみ上げてくる。

「あ、あ……そんな、吸われたらっ……」
「飴じゃねえんだ、溶けやしねえよ」
「はあ、ぁっ……!」
 吸われているのは胸なのに、あそこがじんじんと痺れている。前に風雅さんが足の指で押していた部分だ。

「天凱、さん……」
「どうした」
「あっ、う……何でも、ない、です……」
 天凱さんにも触って欲しいけれど、俺からそれをねだることはできない──だってそんなことを言ったら、言った途端に俺は恥ずかしくて死んでしまう。

「彰星よう」
「──ひゃっ!」
 だけど俺がそんな風に思っていることも、天凱さんにはバレていたみたいだ。既に夜着を割って飛び出してしまった俺のそれに天凱さんが触れた瞬間、俺の目の奥に火花が散った。