第15話 ようこそ、PdMCへ! -4-

 その後は空いているテーブルにつき、ドリンクを飲みながら四人でしばらく色々な話をした。
 ヒカルさんとアユム君は俺の知らないPdMCの話を沢山知っていて、内容も面白くどれだけ聞いていても飽きない。元不良だったというアユム君とご主人との馴れ初めエピソードには腹を抱えて笑ってしまった。アユム君は未だに自分が「可愛いリスちゃん」であることを納得し切れていないのだそうだ。

「今度、サイトの動画でアユムとコラボすることになってね」
 ヒカルさんの言葉に、思わず顔を上げる。
「コラボ?」
「うん、キツネとリスの絡みなんて珍しいだろ?」
「コラボって、絡みって……その、ペット同士の……?」
 妄想を膨らませ頬を熱くさせる俺を見て、華深がくすくすと笑った。
「当人とご主人同士の合意があれば、そういうコラボもできるんだよ。那由太も今度俺とやる? DL数凄いことになるよきっと!」
「お、俺はまだ勇気出ないなぁ……炎珠さん達との動画でさえまだ緊張しちゃうし」

 ご主人以外の人とそういうことをするなんて。そしてそれをご主人が許すなんて驚きだ。
 PdMCメンバーは身内のようなもの。その中でもより仲の良い関係だからこそ実現するコラボレーションなのだろう。

 考えていたら、テーブルの上にあったヒカルさんとアユム君のスマホが時間差で鳴り始めた。
「おっと、僕達のご主人が呼んでるみたいだ。──そろそろ行こうかアユム」
「そうだな。また後で話そうぜ華深。那由太もな」
「あ、ありがとうございました!」
「後でね!」
 二人が去った後で、華深が「俺達も戻ろうか」と席を立った。
 一階へ戻り炎珠さん達を探している間も俺はしきりに周囲を見回し、色々なご主人とペット達の様子を観察した。ソファで見つめ合っている二人。軽いキスを交わして笑っている二人。中には俺のように、二人のご主人と一緒に食事をしている人もいる。

「那由太、おかえり!」
「炎珠さん!」
 前方で、白スーツ姿の炎珠さんがこちらに手をあげている。もう片方の手にはシャンパンのグラスがあり、その隣では刹も同じものを飲んでいた。
「さっき幸次郎と涼真に会ったよ。相変わらずケンカしてたけど涼真のカラスっぽい衣装カッコ良かった」
「わ、会いたかったなぁ……うろうろしてれば会えるかな? 俺も華深の紹介でヒカルさんとアユム君と喋ってきました」
「友達できて良かったね、那由太」
 刹が空になったグラスをテーブルに置いて、華深に言った。
「幸嶋さんが探してたぞ。ラウンジにいるから戻ったら来るように伝えろってよ」
「ほんと? ありがと刹っちゃん。そんじゃ那由太またね! 後ほど!」
「ありがとう華深!」

 慌ててラウンジの方へ駆けて行く華深が見えなくなったところで、刹が俺にオレンジジュースのグラスを持たせてくれた。
「腹減ってるだろ、好きなモン食え」
「刹と炎珠さんはもう何か食べました?」
「少しだけね。あ、あのテーブル空いてるよ。ちょっと座ってゆっくりしようか」
 周りのご主人達も皆それぞれ綺麗だったりカッコ良かったり、個性的だったりするけれど。
「………」
「牛丼とかねえのかな。がっつり食える系のやつ」
「ある訳ないでしょ。ていうか刹、そんな食べてばっかで眠くなっても知らないよ?」

 ──やっぱり、俺のご主人達が一番だ!