第15話 ようこそ、PdMCへ! -3-

「聞いてくれよ。うちのご主人様ってばさぁ、昨日も酒飲んで泥酔して、今日遅刻しそうになったんだよ。いつも飲み過ぎるなって言ってるのに全然直らない」
「あはは。酔って寝ちゃうならまだ可愛い方だよ。酒で人が変わらないだけましだって」

 すぐ近くのテーブルは、そんな会話で盛り上がっている。

「前にいたワンコのご主人なんて、酷い酒乱だったって言うじゃん。発覚してすぐ幸嶋さんの制裁受けてたもんね。暴力男なんてマジで最低。規則違反のレイプもしてたんだって」
「でもあのイヌの子、すぐ新しいご主人見つかって良かったよな。さっき見かけたけど、めちゃくちゃ大事にされてて安心したよ」

 俺の知らないご主人の話、俺の知らないペットの日常。
 ご主人とペットの数だけ色々な物語があって、物語の数だけ幸せがある。

「その羽すげえな。ご主人の手作り?」
「そうだけどさぁ……これじゃ白鳩じゃなくて天使だよ」

 そこは不思議な世界だった。

「俺のご主人なんてさぁ……」
「こないだ、PdMCのオフ会で……」
「君の所はご主人がウケなんだって? ……」

 そしてそんな不思議な世界に、確かに俺は存在していた。

「那由太、これが俺の友達! だいぶ前から那由太に会いたいって言ってたんだよ」
「こ、こんにちは。那由太です! ……あ、えっと、ネコです!」
 華深が紹介してくれたのは、俺達よりも少し年上の綺麗なお兄さん二人だった。
「よろしくね。僕はヒカル。フェネックギツネだよ」
 流れるような薄い金色のロングヘア。とんでもなく白い肌と美しい顔立ち。中世ファンタジーの騎士様のようなこの人が、フェネックギツネのヒカルさん。

「俺はアユム。こんなデカいナリしてるけど、リスだぞ」
 そしてふわふわブラウンヘアの爽やか系お兄さんが、リスのアユムさん。確かに体は大きいけれど、その優しそうな笑顔は小動物のように愛らしい。

「この二人はご主人が栄治さんの友達だから、俺がPdMCに入って一番最初に仲良くなったんだ。俺よりペット歴長いし、何かあったら相談できる頼れる二人だよ」
「那由太くんの海の動画見たよ。楽しそうだったね、ご主人からも愛されてるのが伝わってくる」
「あ、……き、恐縮ですっ……」
 ヒカルさんがにっこりと微笑み、思わずぽっと頬が赤くなった。
「でも、ご主人が二人ってどんな気分なんだ? 体力もつか? 一回で二人とするんだろ?」
「な、ななっ……」
「あは。アユム、そういう話題は那由太が固まっちゃうよ!」