第15話 ようこそ、PdMCへ! -2-

「うわ、凄い、広い……!」

 箱そのものはクラブと聞いていたから少しごみごみしたイメージがあったけれど、会場内は本当にどこぞの式場というお洒落な雰囲気に満ち満ちていた。
 ワインレッドの絨毯、ゴールドのシャンデリア。綺麗なクロスのかかった幾つもの円卓、華奢なグラスに注がれたシャンパン、美味しそうな料理の数々。

 そんな会場内を見知らぬ人達が行き来し、あちこちで談笑している。皆男の人だけれど、中にはご主人の趣味なのだろう女子っぽい格好をしているペットもいた。年齢もばらばら。流石に未成年はいないといっていたけれど、白髪に白髭のおじいさんご主人は何人もいる。
 ここにいる全員がPdMCのメンバーだと思うと、何だか感慨深いものがあった。

「思ってたより広くて、人も多いんだなぁ。はぐれたら大変そうだな……」
 呟いた俺の肩に手を置いて、炎珠さんが「大丈夫」と笑った。
「全員身内みたいなものだから、もしはぐれても怖いことはないよ。迷子のペットのアナウンスもしてくれるしね」
「そ、それは恥ずかしい……」
「飯食いてえな。勝手に食っていいんだろ?」
「いいけどお上品にね、高柳様」
 からかうように炎珠さんに言われ、刹が舌打ちする。

 と──

「那由太っ!」
「華深!」
 遠くから俺を見つけてくれた華深が、幸嶋さんの手を引きながらこちらへやって来た。ばっちり決まっているダブルのスーツを着た幸嶋さん。華深は首に真っ白いファーを巻いていた。お尻には触り心地の良さそうなふわふわ丸い尻尾もついている。
「幸嶋さん、久し振り!」
「ああ。海の画像見たぞ炎珠。刹もスーツ似合ってんじゃねえか」
「那由太、那由太!」
 そこまで長いこと会っていなかった訳でもないのに、華深は俺に抱きついて頬擦りを繰り返している。

「炎珠さん、刹っちゃん。少しだけ那由太連れてってもいい? 俺の友達に紹介したいんだ」
「うん、いいよ。走ってぶつからないようにね」
「い、行ってきます」
 二人に手を振って華深について行くと、背中で幸嶋さんの笑い声が聞こえた。
「そんじゃご主人組は、軽く飯でも食いながら更なる親睦を深めようじゃねえか」

 大階段を上って行く華深の背中に問いかける。
「二階のフロアに行くの?」
「うん、二階にペット専用のスペースがあるんだ。ペット同士でお茶したり遊んだりできる場所で、先輩ペットに悩み相談とかもできるんだよ」
 階段を上り切った先、すぐ目の前にそれはあった。
「おお……」

 スーツ姿ではない「ペット」の人達。円卓を囲んでドリンクを飲んだり、楽しそうに会話をして笑ったり、スマホゲームやボードゲームで遊んでいる人達もいる。

 ──ここにいる皆が、誰かのペットなんだ。