第13話 海に行こうよ、ご主人! -5-

 そして車で走ること約一時間半。途中コンビニに寄ったりトイレ休憩を取ったりしたけれど無事にM市に辿り着き、予約していたホテルにチェックインすることができた。
「部屋は一つだけど、寝室が二つあるんだね。五人部屋でベッドが別れてるってことか」
 廊下を歩きながら炎珠さんが言うと、涼真さんが申し訳なさそうに呟いた。
「俺は部屋を分けた方がいいと言ったんだが、幸次郎が……済まない」
「全然平気だよ、同じ部屋の方が何かあった時すぐ集まれるし、夜も一緒に騒げて楽しいじゃん」
 俺も炎珠さんの意見に賛成だ。こういうイベント事は、大人数で一緒にいる時間が長い方がきっと楽しい。

 カードキーで開錠し、五人用の広い洋室へと入った瞬間──思わず溜息が漏れた。
「うっわぁ……広いし綺麗!」
「ほんとだ、良い部屋だね!」
「寝室は……」
 リビングを挟んで三人部屋と二人部屋の寝室があるらしい。刹が三人用の寝室のドアを開けて中へ入って行き、そのまま大きなベッドへダイブした。
「せ、刹っ。着いて早々寝ないでよ」
「五分でいい……運転で疲れてんだ」

 仕方なく俺達は荷物をそれぞれの寝室へ運び、貴重品を金庫に入れてから少しの間パンフレットを見たり部屋の豪華さを楽しんだりした。
「見てみて那由太、バスルームはオーシャンビューなんだって」
「す、凄いです! でも夜は海見えないんじゃ……?」
「朝風呂用の景色だね」
 風呂場ではしゃぐ俺達。リビングでは幸次郎さんと涼真さんがパンフレットを開き、「この二日間をフル活用して楽しむには」と真面目に話し合っている。

「刹が起きたら海に行こうね。ホテルのプライベートビーチがあるっていうから、そこまで混雑してないと思うよ」
「海楽しみです……! お、俺もう今のうちに水着になっておこうかな……」
「あ、それじゃあ浮き輪の空気も入れておくから、夏休みの子供スタイルでお願い」
 何が「お願い」なのかよく分からないけれど俺は俺でテンションマックスのため、最高の笑顔で「はい!」と返事をした。

 三十分後
「刹、刹起きて。海行こうよ、皆いなくなっちゃうよ?」
「んん……るっせえ」
 なかなか起きない刹の肩を揺さぶって、炎珠さんが「ああ、もう」と溜息をつく。
「浜でご飯食べたり、ヤドカリ見たりしたいんでしょ。今日は那由太だけじゃなくて涼真の写真も撮る、って意気込んでたじゃん」
 その横でやり取りを見ていた幸次郎さんが、俺にそっと耳打ちした。
「一度寝たらなかなか起きないのは、うちの涼真と同じだぞ。毎朝苦労するんだ」
「あはは。寝てる時の幸せそうな顔は可愛いんですけどね……」