第10話 ご主人の声には反応します、ネコです

「お、お二人でお風呂どうぞ!」
 留守番二日目の夜。
 昼間のギリギリラブシーンを考慮して、今夜は幸嶋さんと華深に一緒に風呂に入ってもらうことにした。

 ご主人達のベッドは使わせてあげられないけれど、お世話になっているこの二人にもゆっくりとした時間を過ごしてもらいたい。俺の存在を気にせずイチャついてもらえる場所といったらもう、風呂場しかないと考えた結果だった。

「やったぁ、栄治さんお風呂入ろう!」
「気を遣わせてしまったか?」
「いえいえ、お二人が仲良くしてくれれば俺も嬉しいので!」
 済まないな、と幸嶋さんが華深の腕を掴んだ。
「なるべく早く上がろう。華深、頭洗う時に遊ぶなよ」
「うん、分かった」
「ゆっくりでいいですよ!」

 二人が浴室に入ったのを見届けてから、俺はソファに座って溜息をついた。
 炎珠さんと刹が帰ってくるのは明日の夜。時間にしてあと丸一日くらいだ。もう少し頑張れば俺のご主人達が帰ってくる。それまでちゃんと頑張らないと。
「………」
 昼間の光景がチラついて、ついつい、風呂場で幸嶋さん達が何をしているのか考えてしまう。
 あの屈強な肉体に抱きしめられた華深は細い体をしなやかに反らせ、綺麗な涙をこぼしながら嬌声をあげる。ぶつかり合う二人の汗はシャワーと共に流れて行き、混ざり合う吐息は湯気と共に溶けて行く……。

「う、わぁ……」
 想像しただけで体に痺れが走ってしまいそうだ。俺は自分で自分の体を抱きしめ、妄想の中の幸嶋さんと華深をうっとりと観察しまくった。実際の浴室からはさっきから「栄治さん頭洗ってくれるのいいけど荒すぎ! はげる!」「だから痛いってばぁ!」という華深の文句しか聞こえてこないのだけれど。
 妄想の中の姿とは打って変わって子供みたいな二人の仲睦まじさに、思わず含み笑いをした……その時。

「あっ」
 キッチンカウンターに置きっぱなしだった俺のスマホが鳴り、微かな期待に心臓が高鳴った。
「っ……」
 やっぱり。炎珠さんだ。
 画面に表示されたご主人の名前に頬が緩み、俺は急く指で通話マークをタップした。

「炎珠さんっ?」
〈──悪い、違う。俺だ〉
「刹っ!」
〈良い子でやってるか、にゃん太〉
 どっちのご主人でも嬉しい。刹の低い声が心地好く俺の聴覚を震わせ、それこそ猫のようにゴロゴロと喉が鳴りそうだ。
「やってるよ。幸嶋さんと華深も良くしてくれてるし、あ、今は二人共風呂に入ってるんだけど……そっちはどう?」
〈ああ、問題ない。明日の夕方頃には帰れるようにする〉
「ま、待ってるから気を付けて帰って来て。……ところで炎珠さんは?」
〈あいつも今、風呂だ。出てくる前にお前の様子を見ておこうと思ってよ〉