第4話 飼い主はみんな親バカ -6-

「んっ、んぅ……ん」
 息を弾ませながら刹の唇と舌を貪っていると、俺の股下で炎珠さんがむくれたように言った。

「二人、またチューしてるでしょ。俺を除け者にしてるとバチが当たるんだからね」
「お前はコイツのチンポにキスしてんだろ。イく寸前だったんだから続きしてやれよ」
「もちろん。ディープなやつね!」
「──うあぁっ!」
 下から再び咥えられて、俺は四つん這いのまま背中を反らせた。

「やっ、もっとゆっくり……炎珠さんっ!」
「このくらいでネを上げてんじゃねえよ、那由太」
「だ、だってだって、こんなのっ……」

 刹が笑って俺の頬を撫でる。
「そのうち今お前が突き出してるそこに、俺と炎珠のモノが入ることになる」
「そ、そんなの……できる訳がぁっ……」
「楽しみだな?」
「んや、ぁっ……イくっ……ああぁっ!」
 炎珠さんの口で吸い上げられる快感に抗えず、俺は刹の鋭い目を見つめながら豪快に果ててしまった。

 *

「……何これ」
 翌日、昼過ぎ。
 俺は刹から借りたノートパソコンの前で完全にフリーズしていた。

『PdMC にゃん太ウェブ』

 ウィンドウを開いたら、いきなりホームにそんなサイトが現れたためだ。
「まさかこれ、俺……」

 これまでに俺が撮られてきた写真と動画、それから捏造された俺発信のコメントの数々。

 そのサイトには堂々と俺の顔が載り、しかも例の変なコスプレも──壁に手を付いて尻を突き出しているところも、猫手で馬鹿みたいなポーズを取っているところも、炎珠さんと刹のそれを咥えて顔を赤くしているところも。

 全部が全部、余すところなく掲載されている……!

「ちょっ、……ちょっと! 炎珠さん、刹っ!」
 キッチンカウンターの向こうでちびちびと酒を飲んでいた刹が、傍らで食器を洗う炎珠さんに「バレたぞ」と全然焦っていない様子で言った。

「何なんですかこれっ! 説明して下さいっ、ていうか消して下さいっ! 万が一こんなの知り合いに見られたらっ……」
「大丈夫だよ那由太。それは会員制のサイトで特別なサーバーを使ってるから全世界の誰もが見られる訳じゃないし、例え那由太の知り合いが見たとしても、その子もお仲間だから安心ってこと」
「全然安心できないですっ! こんなのただのエロサイトじゃないですか!」
「どれどれ?」

 タオルで手を拭きながら炎珠さんがリビングへ入ってきた。床に座った俺の隣に膝をつき、テーブル上のノートパソコンを一緒に覗き込む。

「エロじゃなくてファンサイトだよ。ほら見てごらん、那由太の可愛い写真もいっぱい載ってるし、これからブログも更新していく予定だし。見てくれた人のコメントもあるよ。『可愛い猫ちゃんですね!』だって」
「そ、そんなことじゃなくて。俺が聞きたいのは、何でこんなことしてるのかってことです!」

 だって、と炎珠さんが目を丸くさせて俺を見た。

「可愛い子のサイトとかブログとか作りたいって思うのは自然な考えでしょ? 人間でも動物のペットでも、うちの子自慢したい気持ちってあるじゃん」
「………」
 本気だ、この目。
 この人は本気でそう思っているし、肖像権も人権も関係なく「それ」がちっとも悪いことだと分かっていない。

「……と、とにかくこのサイトは消してくれませんか。ちょっと恥ずかし過ぎるから」

 なるべく神経を逆撫でしないよう丁寧に言うと、炎珠さんが「せっかく作ったのに……」と肩を落として唇を噛んだ。捨て犬みたいな顔に一瞬悪いことを言ったという気分になったが……どう考えても悪いことをされたのは俺だ。