第4話 飼い主はみんな親バカ -4-

「那由太の舌、気持ち良い……ゼリーみたいにぷるぷる」
「そりゃ、猫の舌だったら偉いことだろ」
 躊躇した分この時間が長引くだけだ。覚悟を決めた俺は炎珠さんの根元を握り、雑誌などから仕入れた何となくの知識をフル活用し口の中のそれへ舌を絡めた。

「んんっ、ん……」
「あら、急にやる気出た?」
 ──確かこの場合、舐めたりするだけじゃなくて……。

「わっ、ちょ、っと……那由太。急過ぎ、急過ぎ。もう少しゆっくりでいいんだよ」
「何されてんだ?」
「めっちゃ吸われてるぅ……あふっ」

 俺のやり方が良いのか悪いのか分からないが、炎珠さんは天井を仰いで呼吸を荒くさせている。その様子を見ていた刹が呆れたように小さな溜息をつき、俺の横にしゃがんで「一旦放せ」と囁いてきた。

「ん、……」
 口から抜いたそれが、俺の唾液でぬるぬると濡れ光っている。初めよりもずっと上を向く形になっていて──俺がこんな風にしたのだと思うと、おかしいけれど妙な達成感があった。

「舌と上唇でチンポを挟む感覚だ。そのまま舌だけを前後させて扱く感じ。歯は当てるなよ」
 刹のアドバイスを受けてその通りにすると、上から炎珠さんの心地好さそうな声が降ってきた。

「あ、あ……いい感じだよ那由太……」
「吸い取るように軽く啄んで、また舌で舐めてみろ。口の中に唾液を溜めて、舌で塗り付ける」
「ん、んう……んぷっ……」
「その感覚を根元から先端まで、平等に与えてやれ。……どうすれば良いか分かるな?」

 刹の手が俺の頭を軽く押した。
「んっ……」
 そしてまた離すよう促され、また押されて、……奥まで咥え込んで、ゆるゆると抜いて、また奥まで含んで……。

「ふあ、すっごい気持ち良い……物覚えがいいね、那由太は」
 上目に見上げれば、炎珠さんの頬はリンゴのように真っ赤になっていた。半分開いた唇の端から涎が垂れ、それを舌で舐め取っている。

 艶めかしい表情で俺を見つめる炎珠さんは綺麗だった。こんな最低なことをさせられているのに、どういう訳か俺は炎珠さんのその顔に体が高ぶるのを感じたのだ。

「う、んう……、はぁ……」
 いつのまにか俺の方も息が上がってきて、刹の助けを借りることなく自分から炎珠さんのそれを愛撫していた。
 味わうように舌を絡ませ、先端から搾るようにゆっくりと吸い上げる。慣れない味が口の中に広がったが不快な感じはせず、息継ぎのついでに体液を飲むなんてことまでしてしまった。

「良い子だね那由太。……刹にも同じことしてあげようか」
 俺の頭を優しく撫でながら炎珠さんが言うと、俺の傍らに屈んでいた刹が立ち上がって俺の頬に手を添えた。糸を残して炎珠さんのそれを口から抜き、ぼんやりと刹を見上げる。

「咥えてえか?」
「……うん」
 俺は刹から目を逸らさずに頷いた。