第3話 初めてのお仕事? -6-

「……っ、……」
 カメラを構えた刹の口元は嬉しそうに弛んでいる。それを見た瞬間何だか無性に腹が立ってきて、俺は目の前の男によく見えるよう、思い切りパンツをずり下げてやった。

「さ、さっさと撮って下さい!」
「もう撮ってる」
 こんな姿を撮影して何が楽しいんだろう。刹ならエロ写真の世話になんかならなくても、相手に困らなそうなのに。

「最悪だ……変態の気分だ……」
「そう悲観的になるな。一千万背負うよりはヌード写真撮られる方がずっとましだろ」
「もうどっちも同じくらいの地獄な気がします……」

 刹が鼻で嗤ってカメラを下ろし、腰を曲げて俺の方へ顔を近付けてきた。
「っ……」
 至近距離で視線が繋がり、その凍るような眼差しに思わず息を飲む。

「同じ地獄なら好きな方を選べ。一千万の返済のためにいつ死ぬか分からない過酷な労働をするか、三食昼寝付きで屋根のある生活をするか」
「……いじわる、……」

 そうして刹の唇が俺の口を静かに塞ぎ、ほんの数秒でまた離れた。

「あ、……」
「炎珠のような優しさは持ち合わせてねえ、悪かったな」
「………」
 刹にキスをされた──理解した瞬間、顔から火が出そうなほどに熱くなる。

「……な、なな、何すんですかっ! 変なことしないで下さいっ!」
「うるせえ、バーカ」

 ケラケラと笑って俺の腕を掴んだ刹が、そのまま俺を椅子から立ち上がらせた。

「もう一度ベッドに寝ろ。その格好のままでな」
 自分でも顔が赤くなっているのが分かる。だけどここまで来たらもうウダウダ言うより素直に終わらせた方が良い気がして、俺は再び刹のベッドに寝転がった。

「自分で握って、誘うようにレンズを見ろ」
「……ん、く……」
 緩く芯を持つ自身のそれを握り、目尻に涙を溜めてカメラを睨む俺。いくら睨んだところで屈してしまっていることに変わりはないし、更に刹をニヤつかせるだけだ。

「ゆっくり前後に扱いて、完勃ちさせろ」
「んっ、……ん、……」
 ファインダー越しに刹が俺を見ている。恥ずかしい格好で恥ずかしいことをしている俺を、じっくりと視姦しながらメモリーに保存している──。

「やっぱりな」
「な、なにが……」
「お前は見られたり、恥ずかしい思いをすることで体に火が点くタイプだ。潜在的Mってこと」
「そんな訳、ないっ……!」
 握ったそれが手の中で熱くなる。息をするたび全身に汗が滲み、露出した乳首は触れてもいないのに痺れていた。

「や、やだ……これ以上は、もうやめて下さ……」
「俺は何もしてねえよ。写真撮ってるだけ」
 カシャ、カシャ、とシャッターが切られる音すら、俺を鼓膜から愛撫しているみたいだ。