第2話 しつけは始めが肝心!

 藤ヶ崎炎珠。高柳刹。
 この謎の二人に謎の「仕事」を言い渡された俺は、ソファの上であぐらをかきどこか夢うつつの状態でぼんやりしていた。

「那由太、大丈夫? 急に気絶するからびっくりしたよ、水まだ飲む?」
「飯食ってなかったんじゃねえか。中途半端な時間だが、飯でも食いながら話そうぜ」
「そうだね、俺もお腹空いたし。……那由太、すっごい似合ってるよその服」
「………」

 トラ柄のパーカ。紫色のTシャツ。黒のハーフパンツに、爪には黒のマニュキア。眉毛の形も整えられ、バサバサだったオレンジ色の髪もふわっとした感じにセットされている。

 突然のことに動揺し気を失ってしまった俺が目覚めたら、こんな格好になっていたのだ。今まで着ていた服はどこかと聞けば、炎珠さんに「洗濯カゴの中に入っているよ」と、しれっと言われた。

 何故いきなり着替えさせられたのか全く意味不明だが、……確かに腹は減っている。しかし空腹より動揺の方がデカく、俺は茫然と二人を見上げて言った。

「お、俺ってこれからどうなるんですか?」
「今日は俺、ピザがいいな。辛いピザ食べたい」
「俺はラーメンの気分だったが、ピザも悪かねえ。迷うな」
 俺を無視して食事のメニューを決めている二人に、俺はもう一度大きな声で言った。
「どうなるんですかってば!」
「そうだよね、どうしようか。那由太はラーメンとピザどっちがいい?」
「そんなこと聞いてるんじゃないです!」

 まあまあ、と俺の隣に腰を下ろした刹が、がっしりと肩を抱いてくる。
「どうするかと言われれば、『ご主人に任せろ』としか答えようがねえ。心配するな、これはお前にとっても悪い話じゃねえぞ。何しろお前は『俺達のペット』になったんだからな」
「ど、どういうこと……?」
 刹の白くて長い指が、俺の唇に触れた。

「俺達はこう見えてもお前を大事にしたいと思っている。良い子にしてれば何でも好きなモン食わせてやるし、必要な物があるなら何でも買ってやる。行きたい場所があればどこでも連れて行く。真夜中に映画が見たくなったら、バイク飛ばしてDVD借りてきてやるよ」
「……でもどうして俺を? 俺達お互いのこと何も知らないのに、どうして見ず知らずの俺の借金の肩代わりをしてまでそんなことしようなんて思ったんですか?」

 刹の指が俺の唇、それから顎のラインをゆっくりとなぞる。
「気になるか?」
その感覚に何故か体がゾクゾクして、俺は座ったままきゅっと身を強張らせた。

「理由は簡単だよ」
 そうして俺の質問には、炎珠さんが答えた。

「俺と刹は、那由太みたいに可愛くて元気で、歳の割に小さくてお利口な子が大好きなんだ。君こそ俺達がずっと思い描いていた理想の青年だよ。俺達が生涯ただ一人仕えるべき存在、それが那由太。君だ」
「お、俺はそんな、あなた達が思ってるような奴じゃ……」